駅前通りギャラリー
上信(じょうしん)電鉄の上州(じょうしゅう)富岡駅から製糸場方面に延びる駅前通り。民家や商店の軒先を見ると、すだれに手書きされた絵がいくつも飾られています。これは地元のボランティアグループの方が中心となって制作したもので、手作りアートとして通りに飾られているそうです。養蚕業や製糸場に関連した絵がいくつも見られ、手書きならではの温かみが伝わってくるようです。これから製糸場に向かう観光客を、すだれのアートがお迎えしています。
また、駅の観光案内所には、手作り感いっぱいのこんなものも……。
それが、地元の小学生が手作りした観光マップです。このほかにも、工女さんたちにゆかりのある場所が紹介されている「富岡まちてくマップ」や、製糸場周辺の飲食店などが細かく紹介されている「街中おもしろマップ <昼メシ編>」など、裏路地散策に役立つ資料がそろっていますので参考にしてみてください。
裏路地散策のスタート地点は富岡銀座通り
駅から大通りをわたり、製糸場方面に向かって歩いていくと、 “富岡製糸場近道” と書かれた小さな看板を目にしました。ここは明治から昭和初期にかけて娯楽エリアとして栄えた「富岡銀座通り」です。昔ながらの小さな路地の向こうには、レトロな空気が漂っています。
呉服屋さんや富岡名物の「ほるもん揚げ」を売るお店の脇を抜けると、昔ながらの玩具屋さんがありました。よく見ると、店の端がタバコ屋も兼ねていたとわかる造りです。今は自動販売機にその座を譲り、お役御免となったカウンターにも、おもちゃが積まれていました。
映画館でにぎわった銀座通り
かつて銀座通りには映画館が多く、別名「電気館通り」とも呼ばれていたそうです。西銀座通りも含め、東西1キロ弱の通りには5軒もの映画館があり、説明看板には「昭和30~40年代頃は、100円持って映画を見に行き、アイスを食べてお茶もできた」と書いてありました。
富岡製糸場で働く工女さんだけではなく、周辺の市町村からも多くの人が映画を見に通ったのが電気館でした。昭和47年に閉館するまで多くの作品を上映していました。現在は駐車場になってしまい、解説看板がなければ、かつてここが映画館だった場所だと気づかないほど様変わりしています。
おもてなしのお茶屋
銀座通りを歩いていると、何とも風情のあるお店を見つけました。店構えは江戸時代の宿場町に迷いこんだように錯覚するほどの貫録です。「お茶」と書かれた “のれん” が目に入り、近づいていくと……。
誰でも気軽に入れ、無料で抹茶を飲ませてくれると書いてあります。大丈夫なのかな?と思いながらも、家の中にいた男性に窓越しに声をかけると、建物の中へ招き入れてくれました。
定年を機に故郷の富岡に戻ったという店主の深沢さんは、先代が亡くなったあと、お店の規模を縮小・改装し、2014年秋から「庵・深茶和(いおり・ふかさわ)として開放しているそうです。何か地元のために出来ることはないかと考え、富岡を訪れた人に無償でお茶をふるまっているそうです。
映画館通りとして栄えた昔の通りの様子など、店主とのおしゃべりを楽しみながら飲むお抹茶は、散策で歩き疲れた体をスッキリさせてくれる一杯でした。
■DATA
深沢茶店 (庵・深茶和)
住所 : 〒370-2316 群馬県富岡市富岡25-3
問い合せ先 : 0274-62-0572
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