「かわいそう」はどんな立場でも言われるもの
小さな子が泣いているだけで「かわいそう」と言われることもしばしば
しかしこの「かわいそう」という言葉、子育ての中ではどんな立場でも折につけて悪気なく言われる言葉なのです。
思い起こせば、ベビーカーや抱っこで出かけた買い物先で赤ちゃんが泣いてしまうと、「あらあら、かわいそうに」と言われることよくなかったでしょうか。慣れない頃、私はよく心の中で「何がかわいそうなの? 好き好んで人込みに連れてきているわけじゃないよ」とつぶやいていました。
専業主婦が小さな子どもと歩いていれば「ずっとお母さんと2人? 兄弟がいないとかいそうね」。小さな兄弟を連れて歩いていて上の子に何かを言いきかせていたりすると、「まだ小さいのにお兄ちゃん(お姉ちゃん)はかわいそうね」「上の子に合わせて下の子は引っ張り回されてかわいそうね」……。これはまだまだ序章みたいです。
我が子たちは5人のうち2番目の子だけが女の子。4人兄弟だった頃からよく「女の子1人なんてかわいそう」と言われて、当時小2だった彼女は「自分がそう思っていないのに、かわいそうと言われるのはとてもいやな気分。でも、自分がそう思わないんだから気にしない」と言っていました。小学校高学年になるころには「そうなんです。姫なんです」とニッコリかわすようになっていましたよ。
「かわいそう」にモヤモヤするのは、小さなお子さんを保育園に預けているワ―ママに限ったことではないと考えて、少し気が楽になっていただけたらと思っています。
多様な子育てのスタイルを見守れる社会に
三歳児神話が話題に上がるときに気になるのが、三歳児神話を否定するときに、家庭での子育てが偏ったものであるかのように言われることがあることです。「お母さんと2人だけでいたら、子どももつまらないし、子どもにとっていいはずがない」という断定調の意見も見かけます。家庭で子育てしているお母さんにとっては、これもまた一生懸命取り組んでいる子育てを否定されているようなものです。
現在専業主婦の方の中には、子どもや家族の病気や介護、夫の転勤などで、その他色々な環境下で考えたり悩んだりした上に子育てに一時期専念することを選択した方もいるでしょう。いずれ復職しようとしても、昨今の待機児童問題もあり、お子さんが幼稚園に上がる頃から復職を考える方もいます。
私も第1子を0歳から保育園に預けて職場復帰した時には、子どもとの時間がなかなか取れないことや、子どもが体調を崩しがちなことに葛藤続きでした。第2子が生まれて以降、「これがいわゆる密室育児!?」と思った状態の時期もありましたし、フリーランスでの仕事を少しずつ開拓していく中で、再び子どもが1歳代から保育園にお世話になったこともあります。
色々な立場で子育てを経験して、また周りのお子さんたちの様子も見てきた今、はっきりと感じるのは、3歳ぐらいまでの間を「日中保育園で過ごしても」「家庭でずっと(主に母親が育てても」、その要素だけが子どもの成長を左右するのではないということです。
私も子育ての色々な場面を振り返ると、出産した病院の先生や看護師さんたちをはじめ、保育園の先生や幼稚園の先生、ベビーシッターさん、ファミリーサポートの協力会員さん、地域の小児科の先生、地域の住民の方々、そして、子育ての苦楽を共にした友人たちの顔が浮かんできます。そんな色々な方の見守るたくさんの目の中で、我が子たちも育ってきたと思います。
各ご家庭で選択し、築いている子育ての形は、色々な形があっていいと思います。その色々な子育てをサポートし、温かく見守れる社会になっていってほしいと思います。