環境省主導の国民運動「COOL CHOICE」
さて先日、環境省が主導する「COOL CHOICE」(クールチョイス=賢い選択)という国民運動に関するイベントが開催されました。今ある技術を用い、より環境に配慮した社会を目指そうという取り組みです。住宅には現在、多様な製品があふれかえっている。その一つひとつの省エネ性能は高まっているが、製品そのものの数が増えていることで消費エネルギーが増えているのが現状だ。省エネ性能が高い製品を購入するだけでなく、住まいや暮らし方を含めたエコの追求が今、求められている(クリックすると拡大します)
我が国だけでなく、世界各国が同様の決意表明をするようですが、なぜこんなことをするかというと、いうまでもなくそれぐらい温暖化が気球環境へ大きく影響しているからです。それが今、私たちの住まいづくりや暮らしに関係してきているわけです。
で、政府の目標の中で住まいに関係する数値として、「家庭部門」の同39.3%(温室効果ガスの約9割を占める二酸化炭素=CO2ベース)があげられています。これは産業部門(6.5%減)、運輸部門(27.6%減)などと比べ、高い目標数値となっています。
ここで私たちがよく知っておくべきことは、生活に関するCO2の排出量は、以前と比べ増えているという事実です。全国地球温暖化防止推進センターによると、2010年の家庭部門のCO2排出量は1990年比で34.8%増となっているそうです。
産業部門や運輸部門は企業の努力などでだいぶん改善されているのとは対照的。ですから政府は、国民運動という私たちを巻き込むかたちでCO2排出量の削減に取り組もうとしているのです。
暮らしのCO2排出量はなぜ増え続けているのか?
ただ、皆さんは少しおかしいと思いませんか。住まいの中にある家電製品などは一昔前に比べ大きく省エネ性能が高まっているはずです。なのにCO2の排出量=エネルギー消費量が高まっているのは変ですよね。例えば、住まいの照明については今やLEDが主流となり、白熱灯などはほとんど使われなくなりました。もちろん色々な製品でも技術的な進歩がみられますから、家庭でのエネルギー消費量=CO2排出量はかつてより減っていると思われます。
それなのに減っていないのはなぜなのか。その理由として、私たちのライフスタイルの多様化が強く関係しています。まず、単身世帯が増えました。このため、テレビや冷蔵庫、エアコンなどの家電製品を持つ世帯が単純に増えます。
単身世帯の内容も大きく変わりました。かつては男の一人暮らしが主流でしたが、現在では女性、あるいは高齢者の一人暮らしも一般的になりました。私の母親がそうですが、高齢者はいろいろなグッズを持っています。
単身ではない世帯、例えば4人家族の世帯でも実は同様です。家族それぞれの個室があるのが普通ですから、テレビは一人1台所有している状況。下手をすると、家族の数以上にテレビなどの家電があるケースもあるのではないでしょうか。
要するに、家電一つひとつの省エネ性能は高まっている一方、一人が所有する家電の数が増えているため、エネルギー消費量の総量がかつてより増えているというのが、「家庭部門」のCO2排出量がなかなか減らない、逆に増えている要因なのです。
このほか、かつては無かった製品が登場したのも要因です。例えば私が生まれた1970年にはパソコンや携帯電話、タブレット端末などは存在しませんでした。生活が便利になることで所有物が増え、その結果がエネルギー消費量が増える原因となっているのです。
このような状況を改善するため、「国民運動」としてクールチョイスという取り組みが始まったのです。実は、その内容がよくわかる場所が存在します。次のページでご紹介します。