机の乱れは心の乱れ。子どもの勉強部屋は整理整頓が大切です
「明日提出するノート……、どこにしまったっけっ?」
1日に数分間、何気なく探しものをした場合、その時間は1年間で1440分=約1日になります。もったいないと思いませんか?
探し物は貴重な時間と労力の無駄遣いで生産的ではありません。人は目から入る情報が一番多いので、部屋が散らかっていると思考もそのように乱れた状態になりすっきりしない思考状態になるのです。
「問題のある子どもの家に家庭訪問に行くと必ず玄関の靴が脱ぎ散らかさされ、部屋が散らかっていた」と知り合いの野球部の先生達からよく聞きました。
もし子どもの部屋がほこりまみれ、机の奥に鉛筆などが転がったまま、もういらないプリントが落ちている状態なら果たして効率よく勉強して志望校に合格できるでしょうか。よいアイデアや未来の夢、希望が生まれるでしょうか。そこで「かたつけ」が必要になるのです。
単に「片づける」だけではない「かたつけ」とは
「かたつけ」とは過去の自分の状態に「かたをつける」こと。つまり、現状と区切りをつけて未来に向かって準備をすることです。「かたつけ」には空間的作業だけでなく時間的、精神的作業も含まれているのです。この区切りがつけられない思考、行動パターンだから過去の探しものばかりして貴重な時間が奪われます。その結果、行動でも試験でも同じ間違いを繰り返しまう原因になります。
ここで大切なことは、その場しのぎの「片づけ」にしないこと。今回は、未来準備の「かたつけ」のやり方をご紹介します。
多くの親がよくやる間違い 「片づけしろ!」
「いつも言っているだろ、ちゃんと整理整頓しろって」子ども部屋の散らかった状態を目にするやいなや頭ごなしに怒った経験はありませんか?
多くの子どもは、正しい整理整頓方法をまだ誰からも正式に学んでいません。学校からも塾からもそして親からも……。だから「やりたくないからやらない」のでなく「やり方を知らないから結果できない」のです。中には、散らかっている状態に不快を感じずにこれが当たり前と思っている子どもさえいます。また、一時的に片づいたとしてもすぐ元の状態にもどってしまいがちです。
では、どうすればいいのでしょうか。お父さん、子ども部屋はお母さんの管轄、と決めつけていませんか?まずは、子ども部屋の役割を考えてみましょう。
子どもの部屋の本当の役目は何か?
子ども部屋は夢を叶える魔法の準備室=人生の楽屋です。歌舞伎役者の楽屋はとても整っています。昔、歌舞伎の楽屋で劇の筋を決めていくことを順番に段を決める=「段取り」と言いました。子ども部屋はまさに「未来の人生の段取り」を決めていく大切な場所(楽屋)だと認識してください。夏休みともなれば、1日の半分を自分の部屋にいることもあるでしょう。その時間は自分の部屋との共同作業、だから自分の部屋、家のリビングのかたつけはとても重要なのです。親子で一緒にやる子ども部屋の「かたつけ」
まずは、部屋が「かたついている状態」のメリットを親子で確認してください。親子でA4用紙に思いつく「かたつけの御利益」を書き出しましょう。(例)
- 無駄な探し物をしなくて済む 時間節約=やる気が持続!
- 整理されているから心地よい 気分が乗る=よいアイデアが浮かぶ
- 捨てるときは決断力もいるから思考が整理される 行動に加速がつく
- ものを捨てるときに判断力が付く 予測力が付く
- 何をどこに置くか決める 推察力、想像力が付く
- とにかく熟睡してよく寝むれる 次の日が快調 などなど
そして、次の段取りに沿って、計画を立て親子作業しましょう。
- いつ「かたつけ」を行うか話し合う。
- 日頃の忘れ物などの悩み問題点を書き出す。
- その問題を解決するためにどこをどうして「かたつけ」したらいいのか?
- 「かたつけ」完成後、どんな感情になるのか?
- 自分の未来がどう変わるか?
- 親子作業の「かたつけ」後、家族のご褒美(外食など)を決める。
- 下の弟、妹にも応援体験させるもあり。
さあ、あとは実行あるのみ。できる範囲でいいので一緒に手伝いましょう。場所は机の中と周り、本棚です。社会人から見て「ここをこうした方がいいと思うよ」と口だけのアドバイスでなく実際に一緒に体を動かして子どもに見せてあげましょう。一緒に親子で汗をかきましょう。お子さんは「かたつけ」初心者!一人でできなくて当たり前です。だからこそ一緒に行うことが重要です。親子で机の後ろのほこりをきれにふき取った時にきっと心の積み重なった汚れもキレになりますよ。
「親子共同かたつけの副産物」
子どもの部屋の「かたつけ」を一緒に行うのは、実は親にも大きな御利益があります。それはなんだと思いますか?それは、子どもの部屋が徐々にかたついていくシーンを見ていくと自分の仕事や過去のいろんな心残りやジレンマが整理できていくことです。だってあなたの子どもがうまく解決できるようになる瞬間に立ち会えるのですから……。だから、頭ごなしに怒るのでなく「子どもの世界一の理解者であり応援者である自分自身」を思い出してください。将来、子どもがあなたに素晴らしい「鶴の恩返し」をしてくれるのをお楽しみに。