夫婦間のセックスレスはほぼ半数ともいわれる。夫婦仲がよく、良好な関係の夫婦にも悩みが潜んでいるのだ。
中には、夫婦間でセックスレスのために婚外恋愛を始めてしまったと正直に打ち明けてくれる方もいる。男女は、「身も心も」求め合うものなのかもしれない。
夫婦だから「セックスしなくてはいけない」わけではないし、「セックス嫌い」なら相手に合わせるのは相当苦痛だろう。夫婦の数だけ、セックスレス事情もまた異なる。
いくつかの一般的な要因
セックスレスになる要因は、一般的にいくつかあると言われている。結婚、妊娠、出産、子育て……こう書くと、なんだ、結婚生活そのものがレスを生む要因になりやすいのかとよくわかる。つまり、「日常生活」と「セックス」が切り離されてしまうのだ、特に子どもがらみで。
一般的に言えば、セックスをしないと子どもはできないのに、子どもができると夫婦にとって、セックスが邪魔になる。皮肉なような妥当なような……。
子育て時期、特に母親は、どうしても子どもに手間も労力もとられてしまう。父親が母親と同じくらい子育てに時間をとってくれればいいが、社会のシステム上、なかなかそうはいかない。母親が育児休暇をとり、子育ての8割以上を担うことが多い。子どもができても、それほど生活に変化のない父親(仕事に行って帰宅して、という意味で)と、生活が激変する母親。どちらにストレスがたまるかは明らかだ。セックスは、特に女性にとって「めんどうなもの」になりがち。
それを察した夫も、妻にセックスを無理強いはしなくなる。そのうち、セックスは「なくても平気」なものになるだろう。
「26歳のとき結婚してすぐ子どもができたの。共働きだったから、協力し合って子どもの面倒を見て。長女が1歳を過ぎたころ、もうひとり欲しいなあと話してエッチしたら、またすぐできた(笑)。2歳児と0歳児を抱えて仕事もするのは大変だった。ふと気づいたら、上の子が小学校に入る頃。もうそうなると、呼び方もお互いにパパママだし、男女としてセックスするなんてことは考えられなくなってたわね」
アキコさん(40歳=仮名)はそう話してくれた。
だが、夫のことは好きなのだという。ここが、かつての「セックスレス」とは違う、現代ならではの夫婦関係だ。以前だったら、夫婦仲がよくないからレスになったり、逆にレスだから夫婦関係がぎくしゃくしたりしたものだが、今はそうではない。
良好な夫婦関係から、セックスだけが抜け落ちているという状況なのだ。仲が悪くないがゆえに、今さらセックスの話題を持ち出すこともできない。「家族であること」を大事にするあまり、セックスができなくなってしまうのかもしれない。
週末は家族揃って遊びに行ったり、みんなで料理を作ったり。夫が凝った料理を家族にふるまってくれることもしょっちゅうだ。
「だけど私にとって、彼はすでに男という存在ではない。あちらも同じだと思う。セックスするにはトキメキとかドキドキ感が必要でしょう? さっきまで子どもたちとワイワイやっていたリビングの隣の寝室で、いきなりエロティックな気分になるのは無理ですよ」
アキコさんは苦笑する。
>>では、セックスレスから脱却する方法はないのか?