田沢がピンチを締め、上原が抑える
その活躍が象徴的だったのが、7月7日(日本時間8日)のマーリンズ戦(ボストン)だった。
田沢は、今季初勝利を挙げた。七回、1対3と2点の勝ち越しを許した直後の二死二塁で登板、3番打者を右飛に打ち取って追加点を許さなかった。その裏、味方打線が3点を奪って逆転。続投した八回も三者凡退に仕留めた。最後に対戦したイチローを150キロストレートで詰まらせて二ゴロに。「いい打者ですし、抑えられたということは、今日は僕が良かったのかな」と笑顔を見せた。
田沢からバトンを受けた上原は、今季最高のピッチングを披露した。マ軍は7番からの下位打線だったが、2者連続で空振り三振を奪い、最後は一ゴロに抑え、11球で今季20セーブ目をマークした。
「キャッチャーがいいリードをしてくれた。終わってホッとしている」
佐々木主浩以来となる、3年連続20セーブ
3年連続20セーブは、日本人選手では佐々木主浩(マリナーズ)以来、2人目。米国では、先発、中継ぎ、抑えの全てを経験し、抑えに定着したのは、ワールドシリーズを制した2013年の途中からだ。テークバックの右腕をできるだけ打者に見えないようにし、タイミングを取りづらくした。ストレートとスプリットのリリースポイントが同じで、しかも、10マイル(約16キロ)の緩急があるため、打者を手玉に取ることができた。その結果、40歳以上で20セーブ以上を記録したのは、メジャー史上6人目という快挙を達成した。
過去5人とは、リベラ(ヤンキース)、ホフマン(パドレスとブルワーズ)、ジョーンズ(ブルワーズ)、エカーズリー(アスレチックスとカージナルス)、ウィルヘルム(ホワイトソックス)と錚々たるメンバー。上原はメジャー屈指のクローザーの仲間入りを果たしたのだ。
毎試合前、遠投を繰り返し、登板後は単身生活が続くボストン市内のホテル自室で、右ヒジの電気治療を欠かさない。オフの自主トレでは、相撲の四股踏みを積極的に取り入れるなど、加齢とともに硬くなる体を柔らかくする努力を惜しまない。
「まだまだの伸びしろはあると思っています。ここで満足しているようではだめ。どこまでやらなくちゃいけないって線はない。果てしなくやりたい。それだけです」
メジャー最高齢クローザーである上原は、さらなる高みを目指す。今季、開幕をDL(故障者リスト)で迎え、黒星が先行するレ軍にいながらも奮闘する守護神を、ファレル監督も「去年までと同じ、安定したコウジを取り戻している」と頼もしげに見つめていた。