高台移転した仙石線の新路線を走る
手樽を過ぎ、陸前富山を通過するあたりから右手に松島湾が現われる。真新しいコンクリート壁が線路際に沿って続き、海岸風景が見づらくなった。立っていれば車窓は何とか楽しめる。これは津波対策だからやむを得ない。
陸前大塚を過ぎると、内陸部に移設された新線区間に入る。津波被害が大きかったあたりで、地域の高台移転にともない路線も敷き直されたところだ。東名、野蒜の2つの駅も移転。仙石東北ライン開業と同時に仙石線も全線で運転再開となった。高台にある真新しい駅だが、周辺は造成工事の真っ盛り。復興工事はまだまだ続き、完成はしばらく先になる見込みだ。
丘陵地帯を抜けると、列車は高架区間を走る。鳴瀬川を渡り、列車はいつしか地平区間に戻る。陸前小野から先は2012年に復旧した区間。次第に街並みが増え、小牛田(こごた)から延びてきた石巻線と合流すると石巻終点である。
アニメキャラクターが出迎える石巻駅
石巻駅は、地元出身の漫画家石ノ森章太郎にちなんで、彼の創り出した様々なアニメキャラクターの像やイラストが駅構内を埋め尽くしている。漫画による町興しは、駅前の通りにも及ぶ。震災前からのものではあるが、今となっては、震災による被害が甚大だった町に少しでも明るさや元気を取り戻そうとしている。
仙石東北ラインの開業で石巻が近くなったので、一人でも多くの人が訪問することで復興に寄与できたらと思う。