鉄道/鉄道デビュー・開業情報

仙台~石巻を結ぶ仙石東北ライン開業

2015年5月30日、仙石東北ラインという新たなルートが開業した。仙台と石巻を東北本線と仙石線経由で直通する新しいルートで、2つの路線が並走する区間に300mの接続線を新設することで可能になった。列車は快速と特別快速のみで、仙台と石巻を最短52分、多くの列車は1時間少々で結ぶ。鉄道網の新たな整備による石巻地区の震災復興が加速することを期待したい。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

ハイブリッド列車が走る仙石東北ライン

ハイブリッド列車

石巻駅に到着したハイブリッド列車


仙石線は、かつて宮城電気鉄道という私鉄で、戦時中に国鉄に買収された歴史を持つ。そのため国鉄東北本線とは線路が並走している区間があり、今回その線路が接近している状況を利用して300mの接続線でつないだものである。

ただし、東北本線は交流電化、仙石線は直流電化と電化方式が異なるため、簡単には直通できず、高価な交直両用電車を用いるのではなく、接続線は架線を張らない非電化区間としたうえで、ハイブリッド車両を使って直通運転を行うことにした。
セミクロスシート

仙石東北ラインのハイブリッド車両の車内はセミクロスシート


ハイブリッド列車というのは、大雑把に言うと、ディーゼルエンジンで発電した電気で走る、ディーゼルカーと電車の中間のような車両である。4両編成(ときに2両編成)の列車は、仙石東北ライン用に新製されたHB-E210系で、トイレつきのセミクロスシートだ。松島海岸あたりの絶景区間を通過するが、常時混雑しているのと、津波対策で岸壁をかさ上げしたので、車窓をゆったり楽しむのは難しくなった。では、仙台から列車に乗ってみよう。
エネルギーモニター

車内にあるエネルギーモニター。発電中、放電中などエネルギーの流れがわかる



仙台から仙石東北ラインに乗車

仙台駅の乗り場案内

仙台駅の乗り場は東北本線と共用だ


仙石線のホームは、東北本線や仙山線のホームとは離れた地下にあるが、仙石東北ラインの列車は、東北本線の列車が発着する地上ホームから出発する。ハイブリッド車両は、ディーゼルカーのようにアイドリングしないし、エンジン音もほとんどなく、静かに発車する。しばらくは、東北本線を北上、快速列車といっても塩釜まで各駅に停車するものと、塩釜までノンストップの2種類がある。
様々な列車

東北本線内では様々な列車とすれ違う


塩釜を出てトンネルをいくつも抜けるうちに、右手から仙石線が近づいてくる。一旦、仙石線が交差して左手に移り、再び右手に戻ってくる。かなり走り、松島駅の手前で列車は減速する。

いよいよ、接続線に進入して仙石線へ

接続線へ

いよいよ接続線へ。右奥には仙台方面へ向かう仙石線の電車が見える


列車は、一旦停止したのち、ゆっくりと分岐し、下り線から上り線に移る。さらに右に分岐して新しく敷かれた単線の接続線に乗り入れる。おりから仙台方面へ向かう仙石線の電車が脇を通過。仙石線は単線なので、なかなかきわどいダイヤになっている。
接続線

接続線を進む。左の複線が東北本線、右の単線が仙石線


接続線を進み、また一旦停車。信号が赤から青に変わると、いよいよ仙石線に乗り入れる。次第にスピードを上げ、鉄橋を渡ると高城町に停車。ここから先は、仙石線の駅である。
仙石線

ついに仙石線へ乗り入れる


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