歯科インプラント/歯科インプラントの施術方法・治療法

金属を使用しない歯科治療、「メタルフリー」のすすめ

銀歯が取れた!と子供のころに大騒ぎした覚えはありませんか?虫歯になり歯医者に行って、歯を削られ金属をはめた。このような経験がある方も多いのではないでしょうか?口腔内に金属という本来無い物があるということは、体にどのような影響をもたらすのでしょうか?今回はそんな金属素材のお話です。

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

土台の素材が歯に与える影響

溶かした金属を鋳型に流し製作する「メタルコア」。義歯の土台となる部分が銀を主体とした金属でできており、保険診療の適応が可能で製作工程が比較的簡単なため術者の技術や歯の状況に影響されにくいです。

しかし、外開きの窩洞(欠損を修復するために、歯にある一定の条件に従って形成した洞)にしなければならない為歯質が薄くなり、神経をとってから時間が経過して乾燥してくると、薄くなった部分から亀裂が入ってしまうこともあります。また、金属アレルギーの可能性や金属の溶け出しによる歯や歯肉の変色が発生することもあり、脱金属=メタルフリーの傾向が高まっています。

一方、化学繊維が束になってできている白い土台「ファイバーコアポスト」は、保険診療対象外のためメタルコアよりも費用はかかります。しかし、天然歯と同等の硬さや弾性をもっているため歯が割れてしまったりする可能性も減り、土台が白いのでクラウンを被せた後も光の透過による違和感もありません。金属ではないのでアレルギーも出ませんし、溶け出しによる歯肉の変色もありません。メタルコアよりも確実なボンディング操作が必要になるため、知識と技術の向上は必須です。

私がメタルフリーへ取り組んで早15年。保険の診療内でも材質にこだわらなければ、メタルを使用せずとも治療することができます。

メタルフリーと歯科インプラント

歯科医の仕事の大半は全く治療をしていないバージンティースではなく、既に何かしらの治療をしている部分のケアではないでしょうか?

私のもとに来院頂いたある患者様はかなり以前に他院で補綴治療をおこなっていました。入っていたメタルコアはとても太く、歯質の薄い部分から亀裂による細菌感染を起こし広範囲での骨吸収を起こしていました。結局こちらの患者さんは抜歯即時インプラント埋入で手術をおこない、同時に骨造成で吸収された骨の部分をしっかりと補うことになりました。

太いメタルコア

太めのメタルコアが入ると上部構造は薄い歯質となり亀裂が生じやすくなる。

メタルを使用しているすべての方がアレルギー反応を示す、歯肉の変色が起きる、細菌感染するわけではありません。しかし、メタルフリー治療にすることにより可能性は大幅に軽減されるのではないでしょうか?この患者さんも細菌感染をしていなければインプラントを選択しなくても良かったのかもしれません。

  • 審美性
  • アレルギー
  • 歯質温存

このような理由からメタルフリーをおススメする歯科医師は増加しており、メタル素材以外のプラスチックなどといった白く歯に違和感のない素材で保険診療を受けることができるようになっています。今後治療の選択肢としてメタルフリーを選んでいただくのも良いのではないでしょうか?


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