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ロードスターか、S660か? 最新国産スポーツカー事情(2ページ目)

ホンダS660、マツダ・ロードスターなど新しいモデルが参戦した国産スポーツカー市場。単純にその未来と市場が明るいとは言えないが、各メーカーが工夫を凝らしてスポーツカーの魅力を訴求している。いま時のスポーツカーの魅力とは何だろうか?

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

史上最高のロードスター

新型マツダ・ロードスター

外から見られることを意識したインパネ。派手なカラーの化粧パネルなどで安易に「見てくれ」をよくするのではなく、細部にまでこだわって練られたデザインや素材感などは、最近のマツダ車に共通する美点だ


それでもNDロードスターは文句なく気持ちの良い走りを堪能できる、史上最高のロードスターに仕上がっていると断言できる。

要素としては、Sグレードでは100kgを超える軽量化や車体中央の低い位置に座らせるパッケージングなどいくつもあるが、AT、MT、グレードを問わず、あるいはドライバーのスキルも関係なく共通するのはとことん「ファン・トゥ・ドライブ」を楽しめる点にある。

年々高まる「安全性への要求」という、いいわけ?(もちろん重量増、サイズアップなど物理的にあるが)をせずに新型ロードスターを生み出したのは、「守るために変えていく」という主査の言葉どおりだが、乗ってみると原点回帰(単にNAロードスターに戻るという意味ではなく)と新しさを感じさせてくれる点もある。

マツダが推進してきた「スカイアクティブ テクノロジー」は、エンジンに代表されるパワートレーンだけでなく、シャーシやボディなどクルマ作りの根幹に関わるもの。

たとえば、新型ロードスターでは高回転までエンジンを回しても実燃費の落ちはそれほどないはず(以前のモデルほどではないはず)とパワートレーン担当のエンジニアが自信を見せてくれた。それは、スカイアクティブ化されたエンジンの噴射技術の向上など要因はいくつかあるそうだ。

燃費は当然大切だが、燃費ばかり気にして気持ちよく走らせることができないのであれば、ロードスターに限らずスポーツカーの価値は半減どころか、ほとんど残らないだろう。だから、ロードスターはMT車で高回転まで回しても楽しいし、逆に1500rpm回っていれば、登坂路でない限り6速でも普通に走る分には走ってしまう柔軟さもある。

ロードスターは好きな仕様を選んで正解

新型マツダ・ロードスター

発売から1か月時点のデータで、74%がMTをチョイスしたそうだ。妥当な割合だが、ATでも走りは楽しい。パドルシフトを駆使し、自動でブリッピング(回転合わせ)してくれるなど、ATならではの利点もある


ソフトトップを上げてゆっくり走ってもよし、飛ばしてもよし。先述したようにATでもMTでも気持ちいいのは間違いない。あとはグレード選びだが、自分の仕事を放棄するだけではなく、「お好きな仕様をどうぞ」と感じたのは確かで、少しでも軽くて1tを切る車重の「S」でもいいし、いい大人だから「LeatherPackage」の6AT車で選びたいといってももちろんOK。

その上で個人的には、MTの良さに圧倒的に惹かれつつも、今度のロードスターならATでも本当に悪くないし、メイン購買層となる男性ドライバーの場合、もし奥さんや彼女、娘さんがAT限定免許しかない際でも、購入を見送るのではなく躊躇なくATを買って正解だと思う。

ロードスターはマツダらしさを存分に感じさせる仕上がりだが、一方で最近スポーツカーとは縁遠かったホンダもS660で、「らしさ」を存分に抱かせてくれているのはうれしくなった。

次ページは、ホンダS660の魅力について
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