コイツはノーマルとは全く違うクルマだ
試乗インプレッションに移ろう。カタロニアサーキットのピットレーンをゆっくり進む。そのときから、“これは違うクルマになったかも”、という確かな予感があった。まずもって、ピットウォールに反響するサウンドがまるで違っている。より野太く、そしてよりラウドだ。
乗り心地も違った。ハードだが、ショックの収まりが早い。弾力のあるハードサス。前アシが自在に動いているように感じる。
コースに出て、いきなりかなりのハードドライブ。予感は確信に変わった。コイツは、ノーマルとは全く違うクルマだ。
エンジンパフォーマンスそのものは、高回転域における伸びと力強さ以外、ノーマルとさほど変わらない。おそらく、この違いを日本の公道上で感じることは、法的に難しい。
けれども、50psパワーアップと50kg軽量化、という数字がにわかに信じられないほど、パフォーマンスがあがっているように思う。
特に、コーナリング速度がべらぼうに速くなった。ブレーキを奥まで残さずに、タイヤのグリップをきっちり活かし、想定したよりも高い速度域で攻め込むと、面白いように素早く、フラットな姿勢でコーナーを駆けぬける。
コーナー脱出は正にあっという間で、リアのダウンフォースがよく効いているから、思い切りよくアクセルペダル踏み込んでいける。もちろん、タイヤの性能も高く、そう簡単にグリップを失わない。優れた空力性能とタイヤパフォーマンスにくわえて、磁性流体ダンパーを得たため、状況に応じた接地フィールを実感できるから、クルマの性能を信じて走り続けるだけで格段に速く走れる、とういうわけだ。このあたりは、いかにも最新ハイパーカーの所作である。
史上最強のランボルギーニ。欠点はというと、もし今、五千万円のあぶく銭があったとしても、買えないということくらいか。そう、世界限定600台はすでに完売。あとは、ロードスター版SVの登場を待つばかりである。