収入と恋愛の関係
収入の低い人ほど、恋人を求めていない傾向があるというのは、注目すべきだと思う。収入が低いから、デート代が捻出できないというような問題ではなく、「収入の低さ=自己肯定の低さ」につながっているのではないだろうか。だから「恋愛する気にはなれない」ということなのではないかと思う。「貧困」の取材をしたことがあるが、確かに貧困に陥っていたら、恋愛どころではない。どうやって生きていくか、明日はどうやって食べていくかしか考えられないのだから、人を好きになる余裕などなくなって当然だ。
そこまで追いつめられていなくても、収入が低い=自分が悪いとなりがち。「周りを見れば、みんなが幸せそうに見える。自分だけがお先真っ暗だと思う。恋愛も結婚もいらない。生きている意欲もうまれないのが本音」と話してくれた30代後半の独身男性もいた。
彼は大学を出て正社員として就職したものの、人間関係で躓き、心身ともに調子を崩して3年たたずに退職。しばらく養生してから就職活動を始めたが、すでに雇ってくれるところはなかったという。
自分に自信がなくなり、人と会うのも億劫になる。収入を上げるためにがんばってみても、一度、「正社員」の道を外れた人に、光り輝く希望がもてないのが今の社会だ。
女性のほうが恋人を求めていない現状
男女で比較すると、女性のほうが恋人を求めていない傾向が強い。これもまた、男性たちは考えるべき結果ではないだろうか。一部の女性たちが、男を見限っている状況にあるのかもしれない。
実際、30代女性たちからは、
「年上の男は威張るし、同世代は自信がなくて愚痴ばかりだし、年下は頼ってばかりくる。バランスのいい男はいないのか。私たちは手を携えて一緒に歩いていきたいのに、それができる男は本当に少ない」
という声もよく聞く。
男性の意識が変わらなければ、女性たちは恋愛しようという気にならない。
恋愛も結婚も、非常にプライベートなことなので、本人が好きなように選択すればいいのだ。結婚しないから孤独に陥るとは限らない。結婚しても、もっと年とって孫とともに3世帯で住んでいても、人は孤独である。家族と一緒にいて感じる孤独のほうが、ひとりきりの孤独より深いかもしれない。
ただ……と、私は深読みする。女性たちは「恋人は欲しくない」と言っているが、「恋愛したい」という欲求はもっているのではないか、と。
今までにつきあってきたような恋人ならいらないが、「ともに手を携えて生きていける人」がいるなら、恋してしまう可能性もあるのではないか。
「恋人欲しくない4割」に、あれこれ思うところは大きい。