現代美術は会議室で語られるものではありません。現場が大切!ということで、今日は展覧会「
絵の住処(すみか)-作品が暮らす11の部屋-」を2016年1月11日(月・祝)まで開催している、千葉県佐倉市にある
DIC川村記念美術館へ来ました。実際の会場をまわりながら、現代美術の楽しみ方を6つの法則にのっとってご紹介しましょう。
1.はて?と立ち止まろう
現代美術が「分からない」のは、なぜでしょうか?
この展覧会では、作品の前をスルーしないで、立ち止まってゆっくり見てください。そして「分からない、はて、これは何だろう?」と、作品に話し掛けてみましょう。
前衛美術の部屋(104展示室) 展示風景 撮影:小川重雄
ふだん私たちは「分からない」ことを、恥ずかしいことだと考えています。美術作品に話しかけてみてください。そのとき「何かに似ている形」とか「色が好き」とか、何かに気が付くはず。その「気付き」が、現代美術の楽しさなのです。
2.作品の向きや角度に気をつけよう
展示室に踏み込むと、彫刻の像が全部後ろ向き、お尻を向けています。
彫刻の部屋(103展示室) 展示風景 撮影:小川重雄 ※写真は作品を正面から写したものです。
この展覧会を
キュレーションした学芸員さんは、正面から見る機会が多い彫刻作品を、わざと後ろ向きに置きました。「こういう彫刻の後ろ姿ってこうなのね」ということに気付き、正面からまじまじと眺めて、再びくるっと後ろに回って「背中も美しいな」と感じることができますよね。
3.作品の置き方にも注目
ここにある、ジョゼフ・コーネルの作品は、部屋のインテリアのように置かれています。
ジョゼフ・コーネルの部屋(105展示室) 展示風景 撮影:小川重雄
作品の置き方や照明の当て方も、キュレーションの力です。目線の高さでそろうこと、床と水平であること、という展示の既成概念を壊すような展示方法も、最近は多く見受けられます。
この部屋のコーネル作品は、小さな箱にいろいろなものを入れたものや、絵などをコラージュしたものなどが並んでいます。展示室全体も、コラージュしたかのように感じるのは、私だけでしょうか?