細隙灯顕微鏡 白内障や詳細な網膜、浮腫などを観察します

細隙灯顕微鏡
白内障や詳細な網膜、浮腫などを観察します

米国では5月は「ヘルシーな視力」を啓発する月間です。今年の5月にはニューヨーク医学アカデミーが、国際糖尿病連盟(IDF)、国際高齢者団体連盟(IFA)および国際失明予防協会(IAPE)と共同して、糖尿病網膜症バロメーター調査を行いました。独医薬大手バイエルの協賛です。日本でも調査があり、わたしも成人糖尿病患者の一人としてアンケートに参加しました。

この研究は糖尿病と糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫に対する認識、管理、利用可能なサポート、サービスの実態把握に役立てられます。改めて眼の合併症を考えるいい機会でした。


糖尿病の診断基準は、網膜症の危険が急に高まる血糖値で決まりました

糖尿病の診断は、基本的に血糖値が以下のような糖尿病型を示すことから判定されます。

■糖尿病型
  • 血糖値(空腹時≧126g/dl、OGTT2時間≧200mg/dl、随時血糖値≧200mg/dlのいずれか)
  • HbA1c≧6.5%

これらの基準値(欧米では1997年、日本では1999年より)はどうやって決められたかというと、遺伝的に2型糖尿病になりやすいピマインディアン(米)、エジプト人の集団、米国の疫学調査NHANES IIIの3集団で、上記の糖尿病型の数値を超えると直線的に糖尿病網膜症のリスクが急上昇することが証明されたからです。網膜症の発症率の増加は診断後の経年に比例して同じ直線上にプロットされました。

年々、糖尿病網膜症は同じ直線上で急激に増えていくのです。20年後には80%の2型糖尿病者に程度の差こそあれ、何らかの網膜症があると判定されています。


糖尿病網膜症は血管病

「目は心の窓」と日本でも外国でも言われますが、目は血管を直接見ることができる唯一の器官です。腎臓の毛細血管も糖尿病を発症すると眼の網膜の毛細血管と同じような障害を受けていると考えられています。

高血糖が続くと毛細血管の周皮細胞が傷害されて脱落し、それを受けて毛細血管の内皮細胞が不安定になり、血液成分が網膜組織に漏れ出たり、毛細血管に瘤(こぶ)ができる状態になります。これによって網膜内出血や白斑が見られるようになります。これが非増殖網膜症です。

このように血管に小さな穴があいたようになると、網膜は乾いたスポンジのように血液成分を含んで厚く膨れあがります。これが視覚の中心である黄斑に起こると、物がはっきり見えなくなる黄斑浮腫です。

さらに、毛細血管の血栓による閉塞が広範囲に拡大していくと、虚血のために新しい血管を増殖する増殖網膜症へと進行します。これはもろい血管からの出血や増殖膜が引きつって網膜が剥離する重い視力障害が起こります。これが失明を招く増殖網膜症です。

糖尿病の眼疾患はとても専門性の高いものですから眼科医の選択にも患者が自主性を持ちましょう。詳しくは日本糖尿病眼学会事務局に問い合わせてください。なお、同学会の糖尿病眼手帳はとても大切なものです。ぜひ、ご利用を!