なぜ、棟内モデルルームにするの?
では、仮設ではなく棟内にモデルルームを設ける理由を考えてみましょう。販売が長引いてしまい、全戸売れるまでにマンションが完成してしまったという場合も、棟内を見学することができますが、「敢えて」棟内モデルルームにしている場合があります。今回見学した、「リーフィアレジデンス世田谷喜多見」も、敢えて棟内モデルルームによる販売をしています。このマンションは総戸数32戸ですが、こうした小規模なマンションに多いのが特徴です。
販売センターの設営はマンションの販売費用から支出しますが、1戸当たりの販売費用が同じような額としたら、戸数が多いほど総額も多くなり、豪華な販売センターやパンフレット、テレビCMなどができるようになります。小規模なマンションの場合は販売費用も限られますし、近隣の人が購入することが多いので、広範囲の宣伝をする必要もありません。
そこで、建設する様子を近隣の人に見てもらい、完成したうえで棟内にモデルルームを用意し、実物で販売する「完成売り」をするケースが多くなります。
棟内モデルルームにする理由は、費用面だけではありません。「リーフィアレジデンス世田谷喜多見」販売担当の平(たいら)さんが、大きな理由として挙げるのは「販売センターの用地取得の難しさ」です。
世田谷区の小田急線沿いは住宅地が多いので、販売センターを設営できる広さの空き地を探すことが難しいうえ、駅前の商業施設もテナントの入れ替えが少なく、オフィスビルのワンフロアを借りて販売センターをつくることも難しかったために、棟内モデルルームという選択をしたということでした。「都区部では販売センターの場所を確保することの難しさから、棟内モデルルームにする事例も多くなるでしょう」(平さん)。
これまで見てきたように、仮設のモデルルームと違って、棟内モデルルームを見学する際には、かなり詳細にチェックすることができます。棟内にモデルルームがあるマンションでは、賢くかつ効率よく見学するようにしてください。
○取材協力/小田急不動産「リーフィアレジデンス世田谷喜多見」
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