住生活だけは「通」はない
生活の基礎である「衣・食・住」の中で衣に詳しい人はファッション通、食に通じている人を食通と言います。しかし住や家に詳しい人を住通、家通などとは言いません。家や住生活だけは「通」の世界がないのです。おそらく、周囲環境、土地の条件、依頼先、人間関係等さまざまな条件がからみ合うので、そう簡単に「通」という一言で表すのが難しいのかも知れません。
しかし、自分の家を建てるのであれば誰もが自分らしいクリエイティブな家をつくりたいものです。そこで今回は、自分らしい表現ができる内装インテリアと庭のアイデアを紹介します。
通らしさを表現するアイデア
窓、床、壁、照明、収納、庭などはちょっとした気づきで自分らしい表現ができるところです。そんな、ちょっとしたところをとりあげてみました。・窓
間取りの中でこだわりの窓を「シンボルウィンドウ」としてとり入れてみて下さい。たとえばピクチャーウィンドウや地窓などです。季節の移ろいや優しい光が入ってきて心を落ちつかせてくれます。窓は単に採光や通風ばかりではないのです。
季節の移ろいを感じられる床ノ間にあけた窓
・床
床は一般的にデザインはしません。したがって無垢材か合板か、色は白系かブラウン系かなどを選択します。しかしながら、古材、またはアクセントとしての部分使いを楽しむポップな床をデザインして自分らしさを表現することもできます。
タイルとフローリングで床を張り分けする工夫も
・壁
部屋の四方を囲む壁は空間を演出する上でとても重要なアイテムです。白やアイボリーなどの定番カラーはつまらないという人は「アクセントウォール」や飾り棚で空間にメリハリをつけてみて下さい。一部分に変化をつけるだけでも雰囲気は変わります。
壁に小さな飾り棚BOXを設け小物を飾ることで壁にリズムを与えます。
・照明
近年注目されているのが、1つの部屋に複数の照明を配置する多灯分散照明です。生活のシーンに合わせて明りを引いたり足したりすることで空間がガラリと変わります。
低い間接照明を設置すると床が照らされ空間の重心が下がり心が落ち着きます。
・収納
収納は余ったスペースという考え方ではなく、最初に収納する物のリストアップをすることが大切です。それから家族の生活動線に合った場所に配置、または収納していくことです。隠す収納ばかりでなく見せる収納は特に自分らしさ、こだわりを表現させてくれます。
階段側面につくられた見せる収納
・庭づくり
庭づくりもその家に住む人の人柄がでるところです。芝生にするか、記念樹を植えるかによって家の景観は変わります。そして庭は住む人とともに成長していくところです。
あまり高木にならない記念樹を植える。
建築狂になるな!住宅ツウになれ
住まいを建てるからたくさん本を読んで住宅ツウになることも良いでしょう。しかし住まいを構成しているものはたくさんあるので、全て理解することは大変で、理解したとしても、良い判断ができるかどうかは別のことです。あまりにこりすぎてバランスを悪くすることもあります。それよりも、通の人は何が肝なのかを押さえることできるのです。例えば自分がこだわっているところを最優先し、その他も優先順位を考える。または一番気に入っている絵や家具、食器などを選び出しそれを部屋全体のシンボルとしてインテリアを考えるといった具合です。
決めていく過程で迷ったら、またそのシンボルに戻ればいいのです。住宅ツウは建築狂になることではありません。そういったことを含めて品のある住宅ツウになることです。