介護福祉士受験者で最も多い年齢層は?
第27回(平成26年度)の介護福祉士国家試験の受験者は15万3808人、合格者数は9万3760人で、合格率は61.0%でした。合格者の内訳は男性が2万4466人(26.1%)、女性が6万9294人(73.9%)でした。受験資格別では、社会福祉施設(老人福祉施設など)の介護職員等の受験者が最も多く、9万3042人で合格者数が5万7681人(合格率が62.0%)、次いで訪問介護員の受験者が2万8734人で合格者数が1万8939人(合格率が65.9%)でした。
年齢別では、41歳~50歳の受験者が2万8569人で一番多く30.5%を占め、次いで31歳~40歳の受験者が2万3275人で24.8%となっています。
40代が一番多いのは、これまで介護現場でキャリアを重ね、さらにスキルアップをはかるべく資格取得にチャレンジする方が多いからではないかと推測されます。こうした熟年層が介護現場で活躍してくださっていることは、大変頼もしいと感じます。ただ、現在活躍中の熟年層がこの先10年、20年とバリバリ働き続けられるとは限りません。
介護福祉士は人生経験が活きる仕事です。それだけに現場では熟年層が貴重な存在となっている一方、20代、30代のみなさんに介護福祉士の資格を取得してもらい、元気な現場を創って頂きたいと私は常々感じています。
介護の現場を疲弊させないため、さらにサービスの質を確保するために、各事業所は新たな人材を増やし、資格取得を促すことが望まれます。
ちなみに介護事業所に対する具体的な提案のひとつに助成金の活用があります。平成27年6月現在、厚生労働省が行う「キャリア形成促進助成金」などを活用し、介護福祉士資格受験対策講座などを実施することで職員の受講料が軽減できます。介護福祉士の有資格者が現場に増えることは、ともに働く職員の励みにもなるはずです。
第27回試験から始まった図表問題は2問
第27回試験の具体的な内容についても触れておきましょう。社会福祉士・介護福祉士国家試験の指定試験機関並びに指定登録機関である「公益財団法人社会福祉振興・試験センター」のホームページでは、あらかじめ「第27回介護福祉士国家試験から、筆記試験において、図・表・イラスト・グラフを用いた試験問題を出題することがあります」と告知されていました。出題方法が大きく変わる可能性もあると考えていましたが、実際には「障害者のシンボルマーク」についての設問と、視覚障害者の歩行介助についての設問の2問にとどまり、従来の出題方法と大きく変わった印象はありませんでした。
私が第27回の問題を解きながら感じたことは、もちろん「参考書と向き合いながらの試験対策」は大事ですが、「介護福祉に関するニュースや最近の動向に関心をもつこと」もじつは試験対策として有効であるということです。
例えば、以前に「何が変わる!? 2015年介護報酬の改定・引き下げ」という記事を書きました。この記事では介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の報酬が引き下げられたことを書きましたが、一連の報道のなかには、施設を運営する社会福祉法人のあり方を問うた記事もありました。
このニュースから、「そもそも社会福祉法人とはなんぞや」とあれこれお調べになった方もいるかもしれませんが、第27回試験では実際に社会福祉法人に関する問題が出題されていました。
介護福祉士試験 合格者の共通点
私が受け持った「介護福祉士受験対策講座」で合格された方に共通していたことがひとつあります。それは、授業中や授業後に質問をしていたという共通点です。「おそらく試験には出ないだろう」ということでも質問をしてきました。講義で話した私の言葉を聞き、それを自分の頭のなかにインプットする過程で、質問が自然にわいてきたのだと思います。
独学の人は、ぜひ「なぜだろう」と疑問をもちながら進めてみてください。疑問→解決に向けた学習を繰り返すことが力になるのです。
そしてもうひとつ、合格された人の共通点をお教えします。それは課したノルマを欠かさずこなしていたことです。当たり前のことのようですが、重要なことです。
試験対策のスタートが早いに超したことはありません。来年の受験を控えている人は、まずは第27回の試験問題を解いてみることから始めてみてください。
過去の試験問題は、「公益財団法人社会福祉振興・試験センター」のホームページから入手できます。
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