社長交代でソフトバンクモバイルの戦略はどう変わった?
昨年、社長(当時)の孫正義氏が「商戦期に合わせた大規模な発表会は、今後数年間実施しない」と公言したことから、商戦期毎の発表会を実施しなくなって久しいソフトバンクモバイル。ですが孫氏がインターネット事業へ集中するため、ソフトバンクモバイルの社長を宮内謙氏に譲ったことから、新社長による新戦略を打ち出すべく、5月19日に新製品・サービスの発表会を実施するに至りました。発表内容の大きなトピックは3つあります。1つは、Androidスマートフォンの充実。昨年発売したソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia」シリーズに加え、今回新たにサムスン電子の「GALAXY S6 edge」を投入。人気ブランドのハイエンドモデルを導入し、Androidユーザーの獲得を積極化させる姿勢を見せています。
2つ目は、マイクロソフトの「Surface 3」のLTE搭載モデルを独占販売すると発表したこと。法人向けはソフトバンクモバイルのブランド、個人向けはワイモバイルブランドで販売されるとのことですが、iPhone重視の戦略をとっていたソフトバンクモバイルがマイクロソフトと提携し、AndroidだけでなくWindowsデバイスも扱うというのは、従来のソフトバンクモバイルでは考えられない変化といえるでしょう。
そしてもう1つは、スマートフォンのサービスに関する取り組みの強化。ヤフーと協力し、Yahoo! Japan IDを取得する必要なくYahoo!ショッピングで買い物ができる仕組みを用意する(詳しくは後述)ほか、今後IBMの人工知能システム「Watson」を用いたサービスを提供すると発表。スマートフォン利用者に向けたサービスの充実を高めていくようです。
これらの取り組みで共通しているのは、スマートフォンやタブレットの利用を一層強化するということ。比較的スマートフォン率が高いソフトバンクモバイルですが、同社の中にもフィーチャーフォンユーザーは一定数存在します。そうしたユーザーを、他キャリアのようにAndroidフィーチャーフォンに巻き取るのではなく、あくまでスマートフォンやタブレットに移行させることで、パケット収入の拡大やサービス利用収入の拡大につなげるというのが、宮内氏の体制となったソフトバンクモバイルの大きな狙いとなっているようです。
次は、新しいサービスの取り組みに関して説明します。