すがりつく女は、わたしかも
別れたいのに、はっきり「もう二度と会わない」と言えない男、男が別れたがっているのを薄々わかっていながら、「まだ戻れるかもしれない」と一縷の望みにすがりつく女。はたから見たら、「それはもうつきあっているとは言えないでしょ」と思う場面であっても、当人(この場合は女性)としては、認めたくないのだ、終わりが来るなどということは。
悪者になりたくない男
どうしてこういう齟齬が生まれるのか。そもそも、男は自分が悪者になりたくない人種。恨まれるのはごめんだ、直接会って別れ話をして泣かれたりわめかれたりするのも勘弁。そんな気持ちが強いから(もちろん、そうでない人もいるが)、昨今、メールで別れ話を切り出す男は多い。日本でも大ブームを巻き起こしたアメリカのドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』でも、ヒロインのキャリーが男に“ポストイット”でフラれるという話があった。朝目覚めると、よりを戻したはずの男がいない。彼女のパソコンにポストイットが貼り付けられており、「ごめん、やっぱり無理だ」と書いてあったのだ。
ドラマを見たときは思わず笑ってしまったが、数年後、周囲に同じことが起こった。恋人と一緒に自分のベッドで寝た友人が目覚めると、5年つきあった彼の姿がない。台所に行ってみると、冷蔵庫にポストイットが貼り付けてあった。
「もうつきあえない、今までありがとう」
それだけ。あわてて携帯に電話をしてみるが、彼は出ない。その日の夕方には、携帯番号が変わっていたというから早業だ。
自分の何がいけなかったのか、まったくわからなかったから、彼女は混乱したという。
メールやポストイットで別れようとする男を、女は許さない。だが、「もうつきあえない」とはっきり言うだけマシなのかもしれない。
もっといけないのは、話を曖昧にして、「少し距離を置きたい」と言う男かもしれない。
>>距離を置くってどういうこと?