社債の起債は大幅に減少
日本銀行による国債の大量購入を背景に流動性が低下。また、5月初旬にドイツ国債の価格が急落(利回りは急騰)したことなどを受け、国内債券の価格は乱高下するようなっています。このため2015年度に入ってからの債券の起債は大幅に減少。4月の社債の発行額は前年同月比62%減となっています。社債の起債が大幅に減少していることから、社債に投資しにくい環境が続きそうな雰囲気です。事実、2015年5月の個人向け社債の起債は、東海東京フィナンシャル・ホールディングスの1年債、利率0.41%、発行総額34.95億円のみになりそうです。
国債に関しても、2015年5月募集の新窓販国債2年物は新規発行停止、5年物は利率0.10%、10年物でも利率0.40%しかありません。個人向け国債は、5年固定、10年変動は4募集のものより利率は引き上げられましたが、3年固定は利率の下限である0.05%、5年固定は0.08%、10年変動は0.28%に過ぎないのです。
そのような厳しい環境の中、ソフトバンクが個人向け社債の起債を発表しています。
発行総額が少ない点に留意
近年、個人向け社債の発行では東の正横綱であるソフトバンク。2014年度は3本の個人向け社債の発行を行いましたが、今年度も1本目が起債されます。償還期限は5年、利率の仮条件は1.00%~1.60%となっています。募集は平成27年6月4日~同年6月17日となっていますが、発行総額が1000億円の予定というのがやや気になります。発行総額は増額されるかもしれませんが、2014年度に発行されたソフトバンクの個人向け社債の発行額が数千億円にのぼったからです。仮に発行総額が増えないと、社債の発行額が大幅に減少、かつ好条件の個人向け社債が起債されていないことを考えると、瞬間蒸発のごとく瞬く間に売り切れになる可能性があるからです。
この記事を書いている最中には、残念ながら詳細な発行条件が決まっていませんが、2015年1月に発行されたソフトバンクの劣後債を扱った証券会社は、野村証券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SBI証券、岩井コスモ証券、岡三証券、東海東京証券でした。
筆者が見聞きした範囲では、大手証券の取扱額が多かったようです。1000億円以上の発行額となれば、大手証券が取扱い会社から外れる可能性が低いように思われます。今回(ソフトバンクだけではなく)だけではなく、今後の個人向け社債の起債も視野に入れれば、大手証券会社に口座を開設しておく(今後も考えて)方がよい気がします。額面金額は100万円と予定されていることから、投資資金の準備も行っておくべきでしょう。
2014年度に記載されたソフトバンク債は、償還期間は5年、利率は第45回債が1.45%、第46回債は1.26%でした。長期金利は第45債が起債された時より低く、第46回債の起債時より高いことから、1.30%台で決まるかもしれません。5年寝かせておける資金があれば、迷わず申し込みたいソフトバンク債と言えるでしょう。