脱水症状とは、そもそもどういう状態?
脱水というのは、「摂取した水」より「排出した水」が多くなった状態をさします。脱水による症状としては熱中症が有名です。熱中症は重度になると高熱により血液が固まったり、脳や肝臓、腎臓に障害をもたらしたり、場合によっては死にも至る怖い病気で、毎年夏になると熱中症をおこした人が救急車で搬送されたというようなニュースを耳にされていることと思います。
しかし、そこまで重度に至らなくても、軽度の熱中症や水分補給が足りていないという意味での脱水症は、日常的に起きているのです。
脱水状態になると、血液の血漿(けっしょう:液体部分)が減り、そうなると、栄養素や酸素が全身の細胞に届かなくなり、以下のような症状が出やすくなります。
- 立ちくらみ、めまい
- 顔色が悪い
- 集中力低下
- 頭痛
- 食欲不振
また、老廃物なども尿や便として排出されずに体内にためこむことになりますから、
- 便秘、肌あれ、むくみ
そして、脱水により水分と同時にナトリウムやカリウムといった電解質も失われるので以下の症状がでてきます。
- 脚がつる
- 手足がしびれる
- 身体がだるい
- 疲れやすい
このような症状は日常生活で「よく見られること」なので、単なる疲れや体調不良から来ると思われているのかもしれませんが、実は脱水によるものも少なくないのです。
実際、水を飲むとすぐ調子がよくなるという人も少なくありませんので、このような症状が見られたら、とりあえず水を飲んでみることをオススメします。
脱水症状になりやすいのはどんな状況?
炎天下にいて汗を大量にかく場合ももちろんですが、意外と思われるかもしれませんが、家の中などの屋内で湿度が高い場所にいる時でも、身体から水分は大量に失われています。特に自分で水分の補給ができない年配の方や子供には周りが気をつけてあげる必要があります。そして水分補給とともに、空調や除湿機などで、室温や湿度の調節をすることも大切です。
また、アルコールの入った飲みものを飲む時も要注意です。アルコールで水分がとれていると勘違いして飲み続けると、どんどん脱水が進みます。アルコールには体外に尿として水分を排出する利尿作用があるため、飲んだ量以上に水分が排出されているのです。
アルコール飲料を飲む時は、飲んだ量以上に水も摂ることを心がけましょう。また二日酔いの時は熱中症になりやすいという報告もありますので、飲んだ後も気をつけましょう。
これから暑い時期になると、スポーツをした後のビールは格別だと思いますが、ゴルフ場やテニスコートなどの炎天下でのプレー中に、水を飲まずにビールを飲むというようなことはかなり危険な行為ですので避けましょう。
また最近は山歩きなどが中高年だけでなく、若い世代にも人気です。山に登る時に水が荷物になるので持っていかない、またはトイレに行けないので水を飲むことを控えるという人もいるようですが、これも大変危険です。
山歩きは思っている以上に汗をかいていますし、呼気(はく息)からも水分は失われていますので、面倒がらずに、水分を適度に補給しましょう。
平地でのウォーキングの際ももちろん同じです。気温や歩くペース、体型などによって汗をかく量が違いますので、それによって摂取すべき水の量も変わりますが、汗をかかない程度の気候で一般的な体型の方の場合、20~30分毎に100~150mlぐらいを目安にするとよいでしょう。
ランニングで必要な水分量については、諸説分かれていますので、ここではご参考までにランニング学会の見解をご紹介します。
マラソンレース中の適切な水分補給について【ランニング学会の見解】(PDF)
脱水を防ぐために必要なこと
身体の中の1%水分が減ると、大脳から指令がでて、喉が渇いたと感じる仕組みになっています。つまり喉が渇いたと感じた時点では、すでに脱水が始まっているのです。また歳をとるにつれ、この喉が渇くということを認識する神経が働きづらくなると言われています。こういったことから、脱水症状の予防には、まずは「喉が渇く前に水を飲む」習慣を身につけることが必要です。また、水は一度にたくさん飲みだめはできないので、一日を通じてこまめに摂取することが大事です。
ただし、下痢や嘔吐などで一気に水分を失った場合や炎天下などで汗を大量にかいた場合などの緊急時には、水ではなく電解質も一緒に摂れる経口補水液(OS-1など)を摂取した方が身体への吸収も早いので、よいでしょう。
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