まず、アンプ「A-5VL」の実力について
音質はアンプやスピーカーなどによって大きく左右されます。 よって、「ND-S1」の音質をレポートする前に、組み合わせるアンプについて述べておきます。まず、「A-5VL(B)」は、デジタル入力に対応している点で、「ND-S1」との相性が良いといえます。iPodから「ND-S1」経由で取り出したデジタル音声を、デジタルのままアンプ(A-5VL)に入力できるので、伝送途中で信号が劣化する心配が皆無です。音質面で有利と言えますし、なにより、iPodから折角デジタルで取り出した信号を、そのままアンプに入力できると思うと、心理的にも気持ちが良いものです。
A-5VLのアンプとしての実力ですが、オンキヨーが独自に開発し、熟成の進んだデジタル方式で、瞬発力と量感豊かな低音、超高域まで伸びやかで透明感のある高音が秀逸です。
アンプの実力を推し量る上で、SACD/CDプレーヤー「C-S5VL(B)」を組み合わせ、音が良いと評判のSACD「EXTON High QUALIT Super Audio CD Sampler/OVCL-00362」(2ch/非圧縮)で試聴してみると、空気の密度までもが感じられるような、空間再現力に圧倒されました。「ND-S1」を接続し、iPodからのデジタル音声を聴く前に、さらに期待が高まりました!!
いよいよ、「ND-S1」で試聴
前置きが長くなりましたが、いよいよ「ND-S1」にiPodを接続しての試聴です。システムは、「ND-S1」に加え、「A-5VL(B)」(アンプ)、「C-S5VL(B)」(音質比較用のSACD/CDプレーヤー)、「D-312E」(スピーカー)と、最新のオンキヨー製品で統一。
音源には、AV評論家、マニア、開発現場など、試聴で良く使われるJennifer Warnesの「Somewhere, Somebody」(CDアルバム「The Hunter」の2曲目)を使用。
試聴は、「C-S5VL(B)」でのCDを再生をリファレンスとし、iPod touchに、同CDからiTunesを使用して、WAV(非圧縮/1411kbps)、アップル Loss Less(可逆圧縮/752kbps)、AAC(iTunes plus/256kbps)、AAC(128kbps)、MP3(320kbps)、MP3(128kbps)の6種類にエンコードしたものを収録し、再生しました。
結果、WAV、アップル Loss Less、MP3(320kbps)、AAC(iTunes plus/256kbps)では、CD再生と遜色の無い良好な音質で、筆者鴻池の耳では、差異は感じられませんでした。 気持ち的には、非圧縮のWAVを使いたくなりますが、ファイルサイズは同曲1曲だけで28.6MBと巨大になってしまいます。
実用性を考えれば、同15.3MBのアップル Loss Lessが現実的ですし、ファイル容量を節約する必要があれば、同5.2MB(WAVの1/5)のAAC(iTunes plus/256kbps)を利用するのも良いでしょう。充分「HiFi」が楽しめます。
因みに、旧来標準とされ、ヘッドホン試聴では、元のCDと音質差の分り難いMP3(128kbps)ですが、今回のようなHiFi環境で比較試聴すると、明らかにダイナミック感と音場の空気感が失われ、HiFi的な音は望めない事が分りました。
尚、「ND-S1」と「A-5VL」のデジタル接続方法は、「同軸」と「光」の2種類から選らべますが、筆者鴻池は「同軸」をお勧めします。元来、デジタル接続なので、音質は同じはずなのですが、「同軸」の方が明らかに高音質でした。
使い勝手の面では、「A-5VL(B)」(アンプ)を組み合わせると、オンキヨー独自のリモコン転送機能「RI」が利用でき、「A-5VL(B)」のリモコンで、「ND-S1」を経由し、iPodの選曲(アーティスト、アルバム、曲)も行う事ができて快適でした。
さいごに
iPodをHiFiミュージックサーバー化してくれる「ND-S1」に、興味を持たれた方も多いのではないでしょうか? 手持ちのアンプや、アンプ内蔵スピーカーがデジタル入力に対応していれば、「といあえず」試してみるのも良いでしょう。オンキヨーでは、今回組み合わせたHiFiオーディオ以外にも、デジタル音声入力に対応したAVアンプ、手軽なデスクトップスピーカーも発売しています。 用途や予算に応じて、組み合わせを楽しんでみてください!
■紹介製品購入ページへのリンク:
・ND-S1 (予約案内受付中: 2009年秋に販売予定)
・アンプ「A-5VL(B)」
・SACD/CDプレーヤー「C-S5VL(B)」
・スピーカー「D-312E」
D-312E