我慢して付き合いを続ける?
女性たちは、なぜ「自分が悪い」と思ってしまうのだろう。モラハラから抜け出すには、まずは「私が悪いわけじゃない」と思うことから始まるのかもしれない。
いつしか彼のペースでつきあうように
その3人のうちのひとり、カオリさん(仮名・30歳)は、7歳年上の彼とつきあって1年あまり。ここ数ヶ月、彼からの束縛がきつくなってきたという。「毎日夜10時には電話しなくてはいけないんです。ただ、私は音楽関係の仕事をしていて、夜の10時はまだまだ仕事中ということも多い。それを彼に言っても、『連絡くらいできるでしょ』って。仕事中に電話なんてできませんよね。でも彼は、『僕はきみのことが心配なんだ。愛情があるならそのくらいできるはずだ』ってきかないんです」
無理して電話をする日々。それができないときは、トイレに行くふりをしてメールを送る。
「彼は普通のサラリーマンなので、平日も週末も、できる限り会いたいという。たとえ30分でもいいから毎日会いたいと。でも私は仕事が好きだし、お互いに時間のあるときにゆっくり一緒に過ごしたい。そう言うと、彼は『きみは僕に愛情がない』と怒り出すんですよね。すぐに愛情と結びつけるから、私が無理をせざるを得ないんです」
彼は彼のやり方を押しつけてくる。どこかおかしい、とカオリさんは感じている。それでも、好きだからこそ、彼の言うとおりにしない自分がいけない、と自身を納得させる。あげく、「彼に、『きみがオレを怒らせるんだ』と言われると、私がいけないんだと思ってしまう」事態になる。
いつの間にか、精神的に彼のペースにはまっていたとカオリさんは言う。
好きだ好きだと情熱的に口説かれ、その気になってつきあったら、なぜか自分の言い分が通らない。彼のペースに合わせないと怒りを買うだけ。だんだん怖くなって、自分の言いたいことが言えなくなっていく。
「一度、デートをドタキャンしたことがあるんです。急な仕事が入ってどうしようもなかった。それ以来、彼は『きみのことは信用できない』と。私も負い目があるから、全否定されるようなことを言われても反論できなくて……」
>>自分を主張できないのはどうして?