終身雇用制度はとっくに崩壊している?

サラリーマンの今後は?

サラリーマンの今後は?

昨年、日立製作所、ソニー、松下といった日本を代表する大企業が、「年功序列型」の賃金制度を廃止し、話題になりました。これらの流れは、私たちの働きかたをどう変えるのか――。『若者はなぜ3年で辞めるのか?』の著者で人事コンサルタントの城繁幸氏に、今、雇用の現場で何が起きているか、今後どう備えるべきかを伺います。

――かねてから、「終身雇用を辞めることで正社員と非正規社員の格差が是正される」と指摘していらっしゃいます。著書では「終身雇用は今後10年が山」とも。今、雇用の現場では、どんな変化が起きているのでしょうか。

城繁幸さん
 実態としては、終身雇用制度はとっくに崩壊していると私は思っています。ただ、まだそれに気づいていない人が多い。今、どこの大企業でも当然のようにリストラを進めており、追い出し部屋や早期退職があります。そのターゲットになっているのは、“自分たちは終身雇用でギリギリ逃げ切れるだろう”と思っていた50歳前後の人たちです。とはいえ、それ以外の人たちも、いつ自分の立っている床が抜けるかわからない状態だといえます。

昨年、日立製作所、ソニー、松下と、日本を代表する大企業が「年功序列の廃止」を発表し、話題になりました。ソニーが「2015年度からを目途に、年功給部分を廃して、役割に応じて賃金を決める職務給を全面的に導入する」とリリースし、パナソニックも同様の動きを見せました。日立製作所は、「国内の課長職以上の管理職およそ1万人を対象に、年功賃金をなくした賃金体系を導入する」と発表。いずれは一般社員へも波及していくでしょう。これらの背景には、より優秀な人材を確保し、世界で戦うための国際的な競争力をつけたいという企業の狙いがあります。

20代と50代の収入が逆転するケースも?

――年功序列の廃止により、具体的に何が変わるのでしょうか。

城繁幸さん
 年功序列をやめるということは、「同一労働同一賃金」になるということです。日本企業の賃金は、一般的に「職能給」という形になっています。初任給は一律で、そこから勤続年数に応じて賃金が上がっていく、いわゆる「年功序列型」です。若い頃は収入が低くても、長く勤めれば確実に上がっていく。これまで日本企業は、その仕組みにより、従業員の定着率を引きあげ、会社にノウハウを蓄積させてきました。しかし、それは若手の不平等感を生み、組織としての状況の変化に対応できないというデメリットにもつながります。

一方で、勤務年数や性別などに関わらず、仕事の内容や役割に対して給料が決まるのが、「職務給」です。どんな仕事をするかで収入が決まるので、理論上は、20代と50代の収入が逆転するケースもある。毎年の査定によってアップダウンする流動的な賃金制度です。人が定着しづらいというデメリットはありますが、企業としては多様な人材を必要に応じて採用でき、環境の変化にも対応しやすいというメリットがあります。

今回、発表した3社では、従来の「職能給」が廃止され、役割や能力、成果によって賃金が決まる仕組みになるというわけです。例えば日立製作所の場合、これまで給与の70%を年齢や勤続年数に応じた「年功序列制度」によって支給し、残りの30%を仕事の内容や責任、成果などを反映させて支給してきたわけですが、その「年功序列制度」による70%が見直されることになります。日本の象徴的な大企業が年功序列廃止を打ち出したことで、今後は、他の企業にも同様の動きが出てくるでしょう。

★城さんのインタビューは次回に続きます!

undefined

 

教えてくれたのは……
城繁幸(じょうしげゆき)さん

株式会社ジョーズ・ラボ代表取締役。 東京大学法学部卒、富士通人事部を経てフリーの人事コンサルタントとして活躍。ベストセラー『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代』など著書多数。



取材・文/西尾英子

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。