王貞治氏の持つもう一つの日本記録にも迫る
今季は4番手の外野手として新たに加入したマ軍。ジャンカルロ・スタントン、マルセル・オズナ、クリスチャン・イエリッチの若きメジャー最強外野陣の“補佐的”な役割を求められた。そのため、開幕から13試合終了時点で先発出場は4試合にとどまり、代打での起用が基本線だった。安打数もそこまででたったの5本。ところが、最強外野陣の一角であるイエリッチが膨隆性椎間板ヘルニアで離脱し、4月21日(同22日)から先発で出場し出すと、エンジンがかかる。
21日(同22日)から3度のマルチを含む6試合連続安打をマーク。その後、連続安打は途絶えたものの、4月29日(同30日)のメッツ戦で1号3ラン、30日(同5月1日)のメッツ戦からフィリーズとの3連戦で4試合連続安打。その間、チームも9勝3敗と勝ち星を重ね、勝率5割に到達した。これにはイチローの貢献度は高く、MLB公式サイトも「(イエリッチが離脱しても)ここに危機は存在しない。なぜなら、マーリンズは尊敬に値するイチロー・スズキを起用することができる」と伝えた。“代役”以上のパフォーマンスを41歳のイチローが見せている証拠である。
この間の最大のエポックは、4月25日(同26日)のナショナルズ戦で、八回に1得点を挙げ、日米通算1968得点となり、心酔する王貞治氏(巨人)の持つプロ野球記録の1967得点を上回ったことだ。王氏は、今でもイチローの尊敬する存在である。2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では監督と選手として出場し、世界一をつかんだ。オフの帰国時には、必ず面会していろいろなアドバイスをもらっている。
「(日米で)試合数が違うので、全然比較はできないと思います。それでも、他の人の記録には全然興味がないですけど、王監督の記録は、どの記録も特別なので、ただただ光栄です」
実は今季、王氏の持つもう一つの日本記録をイチローが打ち破る可能性が膨らんできた。それは、22年連続のシーズン100安打だ。昨年シーズン102安打をマークし、21年連続で王氏に並んだ。今年は厳しいかと思われたが、出場機会が思いの他多い。「それはやれないよりやれた方がいい」と、衰えを知らない41歳の原動力になりそうだ。