白昼堂々、電車内で少年たちに囲まれました
トラブルに巻き込まれることが多い公共交通は、昼間でも要注意
フランス第二の都市リヨン。留学中だったガイドが、平日の昼下がり、地下鉄に乗っていたときのことです。ボックスシートの奥に座り、今では珍しいMDプレイヤーで音楽を聴いていました。するといつの間にか、少年たち数人がガイドを取り囲むように、そのボックスシートに座っていたのです。それでも毎日の通学で慣れていたため、気にせず座ったままでいました。ガイドが、MDプレイヤーをカバンから取り出したときです。前に座っていた少年が、MDプレイヤーをひったくったのです。一瞬のことで、何が起こったか分からず、呆然となりました。でもすぐに怒りが込み上げてきて、日本語で「返せー」と叫んでいました。ひったくった少年は、僕は持ってないとジェスチャーをしましたが、すぐに後ろの少年にパスしていたのも見ていました。周りの人たちは遠巻きに見ていましたが、誰一人として助けてくれません。電車が駅に止まった瞬間、少年グループは、猛ダッシュで駅の階段を駆け上がっていく。無我夢中で追いかけました。でも追いつくはずもなく、階段を昇りきったところで諦めて立ち止まりました。ようやく平静を取り戻し、もしも武器を持っていて危害を加えられていたらと考えたら、急に怖くなって膝がガクガクしてきたのを覚えています。
ガイドの経験をもとに導いた、電車内で犯罪に巻き込まれないために、気をつけるべきことを5つご紹介します。
ボックスシートの奥の席には座らない。
海外の電車は、日本の一般的な普通電車のように一列シートとは限らず、ボックスシートが主流の場合も多い。そのためボックスシートの場合はできるだけ、奥に座るのを避けましょう。ガイドのように、ボックスシートの奥に座って、通路側を塞がれてしまう場合もありますので。万が一に備えて、できる限り通路側、できればドア近くの席に座るよう心がけましょう。人が少ない車両には乗らない。
時間帯によっては、ほとんど人が乗っていない車両がありますので、人が少ない車両は避けましょう。海外の電車は、日本の電車と違って、車両ごとの移動ができない場合があります。そのため、たとえば自分以外にもう一人しかその車両に乗っていなければ、次の駅に着いてドアが開くまで、二人きりの密室になってしまうことがあるのです。ただし、逆に込みすぎている場合は、スリにあう危険性もありますのでご注意を。女性と旅行客の多い車両に乗る。
現地の女性たちが多く乗っている車両や、同じ旅行客が乗っている車両に乗るようにしています。ガイドが勝手に導いたものですが、同じ境遇の人たちは、何かあった場合に助けてくれる確率が高いと思います。現地の女性たちは女性同士ということで、旅行客は旅行者同士ということで、何かあった時に助けてくれる場合が多いのではないでしょうか。深夜だけでなく、早朝も要注意。
移動する時間帯も重要です。夜中に一人で電車に乗るのを避ける人は多いと思いますが、早朝に移動する人は多いかと思います。路線によっては早朝も人がまばらになるので、気をつけましょう。またガイドのように、昼間でもトラブルに巻き込まれたり、人が多くても誰も助けてくれないということもありますので、その心積もりも必要です。車内でスマホを出さない。
スマホや高価なカメラ、貴重品など。車内ではできるだけ取り出さないようにしましょう。またスマホを海外に持っていく人も多いかと思いますが、ガイドは古いスマホを持っていきます。現地のSIMカードを入れて使ったり、音楽プレイヤーとして使ったりします。古いスマホだったら、万が一盗まれても痛手は小さいですから。いかがでしたか。海外でモノを盗まれたくないとは思いますが、危害を加えられないことが一番大切です。少しの心がけで、十分トラブルは避けられますので、ガイドの教訓を思い出して、旅を楽しんでください。