社会ニュース/よくわかる時事問題

芸能人の薬物汚染は、一般と比べて本当に多いのか?(2ページ目)

歌手のASKAに続きAV女優の小向美奈子が覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕(再逮捕)され、再び注目を集めることとなった芸能界の薬物汚染。ここ数年では田代まさし、酒井法子、押尾学など有名タレントが薬物使用で逮捕されていることなどから、一般人に比べ、芸能界に薬物汚染が多いという印象が持たれているが、実際はどうなのか。

松井 政就

執筆者:松井 政就

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芸能界に薬物汚染が多いと思われる理由は何か

比較が出来ないにもかかわらず、なぜ芸能界では薬物汚染が多いと思われがちなのか。

理由の一つは、芸能人はメディアによって大きく報道される点だ。

たとえば平成26年は、覚醒剤事犯の検挙人員が10958人いたにもかかわらず、10957人については全くというほど知られない一方、歌手のASKA一人だけが大々的に報じられた。

つまり芸能人の薬物事犯は、その比率が他の職業に比べて多いかどうかとは無関係に、たった一人であってもその他全ての検挙人員を凌駕するほどのさらし者にされる点にある。

これはメディアへの露出による印象面でのものだが、もう一つ、芸能界での薬物汚染が多いと思われる理由がある。それは、芸能界では薬物への誘惑が多く、薬物使用へのハードルが実際に低いことだ。


売り手にとって都合のいい環境

どんなビジネスにおいても、最も楽に儲ける方法はリピーターを増やすことだが、薬物においても、売人が最も楽して儲かる方法は同じ人間に何度も売ること。つまり使用者を薬物依存にすることだ。

依存を招く要因としては「対象物(薬物)への距離」つまり入手のしやすさ「接触頻度」などが代表的だが、芸能界ではこれらの条件が売り手にとって都合のいい環境にある。

過去に覚醒剤取締法違反で逮捕された某ミュージシャンも、音楽界では薬物への誘惑が多く、海外のスタジオでは当たり前のように使用されていたと語っている。つまり、一つめは「身近で使用している人が多い点」

二つめが、芸能人の場合、薬物使用で逮捕された人が数年後にカムバックしている例が多いなど、「使用へのハードルを低くしている点」

そして三つめが、一般人の場合は自分から入手に動かなくてはならないが、芸能人は職業上、不特定多数の人と接触することが多く、「売り手のほうから接触が可能な点」だ。

つまり、芸能界には薬物汚染(依存)に陥りやすい条件が複数重なっており、それ以外の職業と比べて、問題が深刻である可能性は高いと考えられる。

ただし、明確なデータがない以上、そうと断定することは避けなければならない。
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