独身女性たちの嘆き
一方で、独身アラフォー女性たちも、一時期ほど婚活には乗り気でなくなっている。「婚活は疲れた」
そんな声もよく聞く。結婚したい、相手はどんな人でもいいと言いながら、やはり結婚が生活の術だと割り切ることはできないのだ。
なんのために結婚する?
41歳のB子さんは、40歳の声を聞いたとたん、急に前向きになった。
「ひとつは子どもを産むことをあきらめたから。そうしたら、結婚する意味なんてないと思えてきた。私もご多分に漏れず、給料は安いけど、とりあえず実家があるし、母親とふたり暮らしも気楽なのではないかと思えてきました」
7年以上、恋愛もしていないが、男女問わず友だちは多い。それでじゅうぶんではないかと彼女は言う。
「親を看取ったあと、誰が私を看取ってくれるのかとは思うけど、そこまで考えてもしかたがないですよね。結婚は、介護や看取りのためにするものではない。縁がなければ独身のままでもいいやという気分です」
母親の年金と彼女の収入で、なんとか暮らしていける。たまには外食もできるし、母と旅行することもある。
「今さら結婚して新しい環境で暮らしていくのもつらいし、母をひとりにするわけにもいかない。私の周りにも、同じような境遇の女性は多いですよ。最後は女同士、シェアハウスを作って暮らしてもいいよねと言い合ってます」
どういう状況にあっても、女性たちは前向きだ。いったん覚悟を決めると、もはや愚痴らず、今の状況の中で楽しみを見いだそうとする人が多い。男に頼って生きても、その男たちの経済状況がよくないのだから、だったら今のままで誰にも管理されずに自由でいたい。そんな思いを抱く女性もいる。
つい先日、以前に比べて年収が100万円近く下がったと嘆いている30代の独身サラリーマンと話をした。会社の業績が悪く、ボーナスが下がり続け、ついには基本給まで下がったのだとか。近い将来、結婚しようと買ったマンションのローンが今は重いそうだ。この状況では、やはり結婚はできないと彼は小声で言った。
政府は「女性が輝く社会」と声高に言っているが、そのためには、まず男女の賃金格差をなくすこと、女性が継続的に安定して働ける環境を作ることが先決だ。そうしなければ、結婚も出産も増えない。
人は本来、「つがいになりたい」気持ちがあると思う。だが、それを社会が阻止しているような状態にある気がしてならない。
「結婚してしまえばどうにかなる」時代ではないことは、厳しい状況で働いている人たちならみんなわかっている。だから結婚に二の足を踏むのだ。
【関連記事】
・「お父さんのような人」と結婚したい、に覚える違和感
・苗字が違うと「家族の絆」は弱まるのか
・それでもあえて「恋のススメ」