シーズンで最も大きい世界選手権が終わったあとの時期のこの大会には、選手たちそれぞれがさまざまに思いを抱えて出場します。
世界選手権のリベンジといった思いを抱く選手たち
世界選手権で味わった悔しい思いを、同じシーズン中のこの大会でなんとか昇華させておきたい、という気持ちを持った選手もたくさんいます。世界選手権で2位だった羽生結弦選手は、世界選手権で3回トライした4回転ジャンプがクリーンでなかったことなどの悔しさを胸に抱いて、この試合で素晴らしい演技を見せると公言しています。無良崇人選手も同じく世界選手権で、スケート人生で一番大きいと言ってもいいくらい、というほどの悔しさを味わったといいます。また、世界選手権のショートプログラムの際には、発熱もしていたというエレーナ・ラジオノワ選手(ロシア)も体調を整えて今大会に臨んでいます。
来シーズンへの新しい取り組みを見せる選手たち
たとえば、エリザベータ・トゥクタミシェワ選手(ロシア)。初優勝した世界選手権ではショートプログラムだけに組み込んだトリプルアクセルを、今大会ではフリーにも入れる予定だそう。たしかに、この大会には次の大会への枠取りなどがかかっていないので、新しいことを試してみるのにはとてもいい機会です。世界選手権が終わったばかりなのに、もう来シーズンにむけた取り組みをしている選手たちもいます。来シーズンにむけた、といえば、マックス・アーロン選手(アメリカ)は、もう新しいショートプログラムとフリーでこの大会に臨んでいます。通常、新しいプログラムを試合でお披露目できるのは、早くても8月や9月のことが多いですが、世界選手権に出場できなかった彼の誰よりも早い段階でのこの取り組みは、来シーズンへの彼の思い入れを感じさせます。アーロン選手だけでなく、世界選手権には出場できなかったけれどこの大会に派遣されたという選手も何人かいます。
また、引退を検討している選手も出場します。長いあいだ故障に苦しめられてきたジェレミー・テン選手(カナダ)は、今シーズン(最初にイメージしていたのは、1月のカナダ国内選手権)を最後に引退するつもりでした。ですが、最後と決めたカナダ選手権で2位となり、四大陸選手権と世界選手権、国別対抗戦に出場することになりました。現段階では、もしかしたら引退は再考するかもしれないということです。
世界選手権のメダリストがほぼ全員顔をそろえる大会
大会全体を通してみると、世界選手権メダリストの6名と6組のうち、引退したパン&トン組(中国、ペア3位)以外のすべての選手たちがこの大会に登場します。(男子1位のハヴィエル・フェルナンデス選手(スペイン)と3位のデニス・テン選手(カザフスタン)はエキシビションのゲストとして来日します)。選手たちにとっては、世界選手権という大きな試合の後にもうひとつ、と少し大変な部分もありますが、ファンにとっては、世界選手権まで磨き上げてきたプログラムを、シーズン最後にもう一度見られるのが嬉しい大会です。
国別対抗戦というと、キス&クライでの選手たちの応援姿を見るのも新鮮で楽しいものです。大会ももう4回目となり、選手たちもこの大会がどういうテイストのものかよく知っていて、自国から応援グッズを持参したり、キス&クライを独自テイストに飾りつけたりしています。
「これで2014-15シーズンも見納め」という方も多い国別対抗戦は、4月16日からスタートします。テレビ放送もたくさんあるので、ぜひこの機会にペアやアイスダンスも堪能しましょう。
●結果サイト
国際スケート連盟の結果サイト
●国別対抗戦スケジュール
▼4月16日(木)
15:15~ アイスダンス ショートダンス
16:35~ 女子シングル ショートプログラム
18:40~ 男子シングル ショートプログラム
▼4月17日(金)
16:00~ ペア ショートプログラム
17:25~ アイスダンス フリーダンス
19:00~ 男子シングル フリースケーティング
▼4月18日(土)
15:15~ ペア フリースケーティング
16:50~ 女子シングル フリースケーティング
▼4月19日(日)
14:00~ エキシビション