ちょうどよいサイズ感のGS
四輪(クルマ)の印象が強いメーカーながら、実は90年以上というオートバイメーカーの歴史を持つBMW。ラインナップの充実はもとより、最新技術を取り入れた最先端モデルを輩出している世界屈指のメーカーと言っても過言ではありません。なかでもBMWバイクの代名詞と言っていい存在が、GSモデル。ラインナップには、R 1200 GS、F 800 GS、F 700 GS、G 650 GS、G 650 GS セルタオと、末尾にGSが付いたアドベンチャーモデルが揃っています。いわゆるビッグオフローダーというカテゴリーのモデルで、未舗装路での走行を目的としたオフロード仕様ながら、長距離走行をも可能とする装備が魅力の存在。BMWバイクのGSシリーズで最高峰に位置するのがR 1200 GS アドベンチャーというモデルで、かつてハリウッド俳優のユアン・マクレガーがこのモデルで世界一周に挑み、走破することでその性能の高さを証明しました。世界中のどんな道をも走り抜けられる究極のモデル、それがBMW GSです。
ハイエンドモデルであるR 1200 GSに、F 800 GS、F 700 GS、G 650 GSが続きます。位置づけとしては、G 650 GSがエントリーモデル、ロードスポーツ色が強いF 700 GS、ビッグオフローダーとしてのキャラクターが立ったF 800 GS、そして究極モデルのR 1200 GSというところ。日本人から見ればいずれも大型モデルに違いありませんが、シート高780mmのG 650 GSや790mmのF 700 GSなどは実際に跨がってみてもさほど足着きが悪くありません。これならエントリーにもってこいですね。
ビッグオフローダーというカテゴリー
このF 800 GSは、GSモデルのなかでもオフロードシーンをメインに設計された一台。前述したとおり、同じGSでも用途によってタイプを選べるようになっており、あらゆるシーンで万能なモデルでありつつも、「ダートに飛び込むことは厭わない。むしろ林道に飛び込みたい!」というツワモノ向けと言っていいでしょう。石や木などが転がっていたり、浅い川なら走って渡れるよう設計されたオフロード仕様なので、こうしたスタンディングさせたときの高さはかなりのもの。多少はバイクに乗り馴れている身長174cmの私でも、実際に取り回すとなるといつにも増して気を使っちゃいます。
普段自分が乗っているハーレーとはまったく異なる挙動に驚かされます。低い重心とバツグンの直進安定性が持ち味のハーレーとは違い、走り出すとフワフワと宙を浮いているようなライドフィール。それでいて、高速道路でスピードに乗って走っても地に足がついていないような不安感はなく、高い旋回性能を備えているのでこの巨体ながらコーナリングも軽々クリアできるのです。
ツインエンジンらしいモリモリ来るパワーが味わえる中低速走行も心地よく、その力強さと旋回性の高さは確かにオフロード向き。上の写真のように、ブロック型のオフロードタイヤがばっちり似合うモデルと言えます。
F 800 GSには専用のオプションパーツが揃っているので、完全旅仕様に仕上げれば、どんなシチュエーションに遭遇しても走り抜けられる一台になれます。「ここまでするならR 1200 GSでもいいのでは?」とも思われるでしょう。もちろんR 1200 GSという選択肢もありますが、どちらかと言えば旅先のイメージにオフロードシーンが浮かぶ人にちょうどいいモデルがこのF 800 GSになるのではないでしょうか。
そんなF 800 GS、やはり気になるのが足つき。その点を攻略する方法について、次ページでご紹介していきます。
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