家族ということばが小さくなってきた
1世帯あたりの家族数は2.42人(2015年現在)で、およそ半分の世帯は一人暮らしか夫婦のみという縮みゆく世帯の姿が浮き彫りになり、家族ということばの持つ意味が社会の中で小さくなってきているようにも感じます。だからこそ家族が本来もっているもの、さらには人間が兼ね備えている感性など、原点を考えてみる必要があるのではないでしょうか?そこでゴリラと人間の違いを比較して、人間のもっているものや家族のあり方や豊かさを考えてみましょう。そもそも家族って何?
人間は他人との付き合いから始まり、やがて愛が生まれ結婚をします。自分と結婚相手はもちろん血縁関係はなく、価値観も多少は異なります。しかし子どもができれば別です。子どもに対してはゼロから責任を負って自分の時間を与えなければなりません。それは誰かのために自分を捧げるという人間的というか生物としての行為です。人間は自分を犠牲にしながらも他人の利益を考えて行動することが喜びにつながるような集団をつくっていきました。簡単にいうなれば、それこそが「家族」なのです。
人間と霊長類を比較してみる
人間の家族の形態とよく似た社会をもっているのがゴリラです。人間とゴリラを比較することで人間は何を大切にしなければならないかが見えてきます。なぜ人間だけが家族をもっていたかというと、進化する過程の中で「共感する力」を育んできたから。共感する力を育んできたからこそ、社会を維持し家族を成り立たせることができたのです。
では、その共感する力は、住まいの中で、どうつくればよいのでしょうか。