東大教授にインタビュー!仕事がなくなる2つの大きな理由は?

仕事がなくなっていく理由

仕事がなくなっていく理由

働く環境が大きく変わりつつある今、ふと気づけば、自分のスキルが“錆びついた刀”になっているケースも――。予測の難しい時代といわれる今、私たちはどんな風に働き、どのようにスキルを伸ばしていけばいいのか…。“生き残る人”になるための方法を、「40歳定年制」を提言している東京大学大学院の柳川範之教授が指南!5回に渡るインタビューをお届けします。

――今後、私達を働く取り巻く環境はどのように変わり、それによって私たちの働き方がどう変化していくとみていらっしゃいますか?

1つ目の理由 経済の変化のスピードが速くなっている

柳川範之教授 今後、10年~20年間をみると、日本だけでなく、世界経済が非常に大きな変革期に入ってくると思います。世界的に変化が起き、かつ、そのスピードが速くなるというところが、大きなポイントです。

原因は大きく分けると2つあります。ひとつは、さらなるITの進化です。コンピューターや人工知能の、あるいは単に人工知能の発達は目覚ましいものがあります。昨年、将棋の勝負でプロ棋士が人工知能に負けたことが話題になったことを覚えている方も多いでのはないでしょうか。今後、人工知能は私たちの働き方に関係して世の中を大きく変えていくでしょう。これまでITの進化といっても、IT産業だけの問題だと思われがちでしたが、これからは、ITとは無関係だった産業もそのスピード感に巻き込まれていく時代になると思いますね。

――IT産業では、少し前までやっていたビジネスモデルがある日突然通用しなくなるということも日常茶飯事と聞きます。そのスピード感が、他の産業にも押し寄せる可能性が高い?

2つ目の理由 グローバル化の加速

柳川教授 そうなると思いますね。もう一つのポイントは、グローバル化の加速です。新興国が今、飛躍的な発達を遂げています。一番分かりやすいのが中国ですよね。10年、20年前の中国と今の中国は、まったく違う。それが東南アジアなどでも起きていて、皆、非常に速いスピードでスキルアップしています。

こういったことが新興国だけでなく、カンボジアやアフリカなどでも起きている。世界全体からみれば、それは良いことですが、日本で働く人たちからすれば、自分たちより能力が高いかもしれない人たちが世界中に沢山現れ、日本人よりはるかに安いコストで働くわけです。今は、ビジネスも人材もグローバル化していますから、そういった人たちと直接的、あるいは間接的な形で競争にさらされていくことになります。これらは不可逆的な変化で、今後激しくなることはあっても収まることはないでしょうね。

――そうなると、「残る仕事」と「なくなる仕事」が明確になりそうです。例えば、今後なくなっていく仕事には、どういうものが考えられるでしょうか?

柳川教授 結局、コンピューターで出来てしまう仕事、あるいは、コンピューターの方が正確に安く出来る仕事は、人の手を離れていくわけです。そして、コンピューターの出来る事はどんどん広がっています。例えば、お客さんに対するセールスのようなフェイストゥフェイスの仕事も、今はコンピューターに任せた方がはるかにキメ細かい情報提供が出来たりする。そういう意味では、コンピューターに置き換わってしまう可能性が高い仕事が、今後増えていくでしょうね。

そして先ほどお話ししたように、新興国やそれ以外の国の人達の能力が飛躍的に伸びていますから、同じ仕事を間接的に争うことになるわけです。

問題は、変化のスピードが非常に速いということ。例えば、親の世代には存在していた仕事が、子供の世代にはなくなっていくといった緩やかなスピード感なら、誰もが対応できるけれど、そうじゃない。世代の入れ替わりのスピードより速くなっていくと、ついていくのが困難になってしまいます。

――不安になってしまいますね。対応できない人が多いのでは?

柳川教授 なおかつ今は昔より寿命が延びていますから、世代の入れ替わりが遅くなっています。世代の入れ替わりは遅くなっているのに、変化のスピードは速くなっている。そこに大きな問題があるわけです。つまり、働いているうちに自分の仕事がなくなったり、それまで通用していたスキルが時代遅れになっていつの間にか使い物にならなくなってしまう。そういうことが起きてくるわけです。それは、皆を不安にするのかもしれません。ですが残念ながら、良いか悪いか、どっちを選ぶかという話ではなく、世界全体がそういった方向に流れていることを認識しないといけません。そして、それに対応しないと今後生き残っていけなくなるということです。

★次に、40歳で弾き出されない人になるための習慣をおうかがいします!

教えてくれたのは……
柳川 範之(やながわ のりゆき)さん

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1963年生まれ。東京大学経済学部・東京大学大学院経済学研究科教授。研究分野は金融。父親の仕事のためシンガポールの小学校を卒業し、高校時代はブラジルで過ごす。大検を合格後、慶應義塾大学経済学部通信教育課程卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了というユニークな経歴の持ち主。「40歳定年制」の発案者として『40歳からの会社に頼らない働き方 』(ちくま新書)が話題に。近著『東大教授が教える独学勉強法』などで、勉強することの楽しさを伝えている

取材・文/西尾英子
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