改善点はシートのみでOK
着手すべきはシート。ここで注意したいのは、足着きを良くするために肉抜き(シートの中身を削って薄くすること)をされる方がいらっしゃいますが、それはファーストチョイスではありません。まずやるべきは、シートを細くすること。それは決して自転車のサドルのようにするわけではなく、元々幅が広いものをスリムにするということです。両足がまっすぐ地面に降ろせると、足着き性は一気に向上します。
ハンドル位置が遠い場合も、着手すべきはまずシートから。両腕が突っ張り気味ならば、座っている位置を前に押しやってやればいいのです。これでハンドルが近づいてきてくれます。
デメリットが大きいローダウンカスタム
足着きを良くするために、前後サスペンションを短くする、いわゆるローダウンカスタムという方法がありますが、これはオススメしません。理想のスタイルのために下げるのならばいざ知らず、足着きおよび乗り心地が目的のローダウンはデメリットの方が高いのです。
前後のサスが短くなるとストローク幅までもが短くなり、走行中に遭遇する大きなギャップの衝撃が伝わりやすくなります。ライダーに衝撃というダメージを及ぼすばかりか、結果的に疲労を蓄積させることにもなるのです。良質のサスペンションに換えても大差はありません。必要以上のローダウンは、オーナーとバイクの関係性と遠ざけることにつながるのです。
「それでもハンドルが遠い」「まだ足着きに不安がある」という場合には、ハンドルまたはライザーを換える、そして肉抜きをする……という方法がありますが、そこまで改善が必要になるバイクは、そもそもそのオーナーに合っていないものと思います。
「どうしても乗りたい」という気持ちを止めることはできませんが、ライディングポジションを大幅に変えてしまうと、そのバイクに何年も乗り続けるのはまず無理でしょう。良い悪いの話ではなく、オーナー自身が何年後かに辛くなってくるからです。
試乗せずに購入に踏み切るなかれ!
せっかくのプレミアムモデルですから、当然長く付き合いたいと思うもの。そのためにも、やはりご自身に合ったバイク選びが重要になります。そのなかでもっとも重要なのが、販売店での試乗です。つい気持ちが先走って、免許取得前に購入のハンコを押しちゃった……なんて話は珍しくありませんが、買ってから「あれ?こんなバイクだったっけ?」と感じても後の祭り。そう後悔しないためにも、各販売店での試乗は必須項目としてください。
それも、そのときの気持ちの盛り上がりを隅っこに追いやり、「はたしてこのバイクと5年、10年と付き合っていけるだろうか」と、語り合うように、気が済むまで乗ってみましょう。いずれも高額なものですし、ともすれば人生の友として長く付き合う相棒選びでもありますから。
乗りたいバイク=自分に合ったバイクとは限りません。とりわけ海外メーカーモデルはそれぞれクセがあるので、向き不向きの差が大きくなりがち。日本人として乗るためにある程度は仕様変更できますが、やりすぎるとそのモデル本来の魅力すら失ってしまいかねません。むしろ「自分に合ったバイクはどれかな」と、先入観抜きでいろんなバイクを試してみて、自分向きのモデルを選ばれるのがベストと言えるでしょう。