子育て/子どもの発達障害・グレーゾーン

親が考えたい発達障害の子どもの精神薬服用(2ページ目)

医療経済研究機構が子どもへの向精神薬処方に関する研究結果を発表しました。18歳以下にも、抗精神病薬と抗うつ薬が増加傾向にあり、治験の必要性が高まっているとのことです。小さい子への精神薬への投与について、発達障害の子どもをたくさん診ている医師に話を伺いました。

原 佐知子

執筆者:原 佐知子

子育てガイド

小児神経科医に聞いた
最近の処方についての傾向

薬の服用は子どものために。

薬の服用は、落ち着いて学習に取り組むためなど、子ども自身のために考えましょう。

長年発達障がいのお子さんを診てきた小児神経科医である安原昭博医師に、薬について話を伺いました。

「医師は、認められていない薬を処方できませんが、自閉症のお子さんの行動障害(暴れる、自傷行為や他害行為)について、薬を処方している医師もいるようです。

実際に、小学校に入って集団生活への適応できない子どもが、薬を飲むことで落ち着いて、他の子どもと同じようにふるまうことができるようになっていることもあります。

日本でも、4歳以上の自閉症の子どもに対しての治験が行われています。そろそろ結果が出る予定ですので、その結果を待った方がいいでしょう。子どもの行動障害に薬が効くのであれば、本人も周囲も安心して生活ができます。

現在、日本で認められている薬は、ADHDの集中力を高める効果のある、コンサータとストラテラです。6歳以上であれば、医師の診断後に、処方が可能です。

ADHDなどの発達障害のあるお子さんは、問題行動を起こして叱られることが多く、自己肯定感がどんどん下がっていきます。お子さんの症状に適した薬を飲むことで、お子さん自身が自分を押さえられるようになり、叱られることもなくなります。発達障害は脳の機能障害ですので、薬の服用が効果的です。

薬を飲んで、副作用が起こったら、すぐに医師に相談しましょう。例えば、てんかんの薬のラミクタールは、間違った処方をすると発疹が出ます。最初は少量から、服用し、徐々に馴らしていく必要があるのに、最初から規定の量を飲ませると発疹が出てしまいます。薬は、かかりつけ医と相談しながら、子どもの様子を観察し、服用させましょう。

薬の処方は、あくまでも子どものためです。大人が扱いやすいようにするためではありません。その薬で、お子さんが生きやすくなり、自己肯定感を育てるものであることを忘れないようにしましょう。」

安原こどもクリニック院長 安原昭博
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