V-Strom1000は走り出せば極上の快適さを体感できる走行性能だが…
V-Strom1000は燃料タンク容量を稼ぐ為にタンク部分が左右に広くなっている以外は車体が非常にスマートなので、1000ccクラスのバイクに比べて軽量です。走り出してしまうと想像以上に車体はクイックで、特に旋回性能がビックリするぐらい抜群。試乗を始めて一つ目のコーナーをいつもの感覚で旋回しようとしたところ、車体が思っていたよりも倒れてしまい、いつもよりも内側に入ってしまい焦りました。タイヤは弟分のV-Strom650と同サイズのフロント幅110mm。リアタイヤ幅150mmと同排気量クラスのバイクに比べて幅が狭いタイヤが採用されています。最近のバイクは安定志向が強いため幅が広いタイヤが採用される事が多いのですが、V-Strom1000は前後のサスペンションのセッティングなどで安定性を維持しつつ、地面との設置面積を減らすことでフリクションのロスを低減し軽快さと俊敏さを手に入れています。
リアのサスペンションは工具無しでプリロードの調整が可能となっています。プリロードの調整の詳しい説明は省きますが、調整することでスプリングの縮むスピード、伸びるスピードのどちらも変わる為、ライダーの好みに合わせてセッティングする事が可能です。
私は始めはプリロードを一番かけていない状態で試乗しましたが、リアがフワフワとして安定しなかったのですが、少しプリロードをかけるとしなやかにストロークしながらもコーナーなどでは路面の追従性が良くなりました。サスペンションのセッティングは乗る人によって好みが異なってしまうので、工具を使わずに手軽にセッティングが変更できるのは素晴らしいポイントの一つでしょう。
弟分のV-Strom650も非常に扱いやすく街中からツーリングまでマルチに活躍できる一台でしたが、V-Strom1000はよりツーリングや長距離を走るのに最適なセッティングが施されています。街中で小さく旋回する時もストレスがなく抜群の軽快さを発揮しますが、意外と排気量の割にはこまめなシフトチェンジが要求されます。
1000ccクラスのバイクの場合、一度トップギアに入れてしまえば街中の巡航ではほとんどシフトチェンジしなくても乗れてしまうモデルが多くあります。しかし、V-Strom1000の場合は6速で50km/h以下に落ちるとギクシャクしてしまい、一つシフトを落とす必要があり、5速だと40km/h以下に落ちるとギクシャクします。そのため、街中でメインで使うのは3速と4速がメインになります。2速も20km/h以下になるとギクシャクするので、極低速のコーナーや交差点は1速を使うことになります。
また、油圧のクラッチはスパッと繋がり、半クラッチ状態がほとんどなく、極低速で巡航する際やユーターンの際には違和感を感じるかもしれません。
バランスが長距離巡航に傾いた分、好みが分かれるセッティングになった
V-Strom650は足つき性以外は非常にマルチな性能でした。それに対してV-Strom1000はより高速巡航型のセッティングになりました。サスペンションのストロークがV-Strom650に比べて長くなって乗り心地が向上され、エンジンのセッティングもより長距離巡航向きになりました。なので、V-Strom1000にはどのようなシチュエーションでも乗りやすい性格は残っていますが、シチュエーションによっては若干操作の煩わしさが発生する形になってしまいました。V-Strom1000もV-Strom650も非常に乗りやすく扱いやすいのは間違いありません。ですが、あなたがバイクに望む物がどのような物なのかによってどちらのバイクを選ぶのかははっきり変わります。
メインの仕様用途はツーリングだけど、たまに通勤や町乗りで使いたいと言うのであればV-Strom1000。メインの用途は町乗りや通勤だけど、たまにツーリングに使いたいというのでればV-Strom650がお勧めです。
V-Strom1000のエンジン音 マフラー音 各部詳細は動画でご確認下さい