奇妙は行動は過剰なドーパミンによるもの
「異性に急にモテやすくなるかもしれない」のは、女性は社交的で世話好きになり、容姿を気にするようになり、男女関係も活発になるからです。男性はさらにテストステロンという男性ホルモンの分泌が増え、この分泌量が多い男性は女性から言い寄られやすいということが知られています。「交通事故に遭いやすくなるかもしれない」のは、反射神経が鈍くなると同時にリスクを恐れなくなるからです。感染者が交通事故に遭う可能性は2.6倍というデータもあります。
「犯罪の道に急に走るかもしれない」のは、独断的、反社会的な性格になり、猜疑心や嫉妬心が強まって、犯罪や規則違反、危険行為などにも良心の呵責が感じなくなるからです。
「自殺をしたくなるかもしれない」理由は完全に明らかにされてはいませんが、2012年の「精神臨床医学誌」では、ミシガン大学のリーナ・ブランディン准教授らが「トキソプラズマ感染者の自殺率は非感染者の7倍になる」という疫学調査の結果を報告しています。
ちなみに、寄生虫によりマインド・コントロールされるという現象は、他の動物や昆虫でも報告されています。宿主をコントロールすることで、寄生虫自身の子孫を繁栄させるという手段なのかもしれません。
妊婦はガーディニングと生肉に気を付けて
妊婦はガーディニングに気を付けて!
トキソプラズマはネコ科動物以外でも、200種以上の動物に寄生することがわかってます。米国疾病予防センター(CDC)では、庭の土や砂の土などでネコの糞尿に触れないように用心して、レアステーキや生ハムなど十分に加熱していない肉は避けた方がいい、と注意を呼びかけています。
なお、室内で飼って、ネコ砂とキャットフードで育てられているネコの場合は、トキソプラズマに感染している可能性はほとんどありません。
■参考文献
・感染症の世界史