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開業90周年!路面電車の生き残り「東急世田谷線」

都電荒川線と並んで都内を走る路面電車として人気の東急世田谷線は、1925年の開業から2015年で90周年を迎える。道路を走る区間はないけれど、車両は路面電車タイプのものが使用され、独特の雰囲気がある。沿線に松陰神社があることから、吉田松陰の登場するNHK大河ドラマ「花燃ゆ」ラッピング車両を走らせ、話題となっている。そんな世田谷線の近況をレポートしよう。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

路面電車の支線の生き残り、世田谷線

大河ドラマ「花燃ゆ」ラッピング電車

大河ドラマ「花燃ゆ」ラッピング電車


世田谷線は、元々、渋谷と二子玉川(当時は二子玉川園)を結んでいた路面電車の玉川電気鉄道(通称「玉電」、のちの東急玉川線)の支線として三軒茶屋から分岐していた。しかし、本線にあたる渋谷~二子玉川が道路渋滞などのため1969年に廃止され(同区間は地下化され、新玉川線を経て、現在は田園都市線の一部となっている)、支線である三軒茶屋と下高井戸間は、道路上を走らない専用軌道だったので生き残り、世田谷線として運行が続いている。
黄色い車両

幸運をもたらすと人気の黄色い車両


長らく旧型車両が使われていたが、1999年より新型車両300系が導入され、今ではカラフルな300系のみで運転されている。全長5km、所要時間20分に満たないミニ路線だが、車内は一人掛けクロスシートが主体で、先頭車両の座席がいつも進行方向前向きとなる(後部車両は常に後ろ向きクロスシート)。座ることができれば、ちょっとした旅気分が味わえるのがよい。

ヨーロッパの終着駅のような三軒茶屋駅と風変わりな若林踏切

三軒茶屋駅

ヨーロッパの終着駅を思わせる世田谷線三軒茶屋駅


世田谷線の始発駅・三軒茶屋は地上にあり、地下にある田園都市線の駅からは、一旦改札口を出て3~4分歩いたところにある。線路が1本、両側に乗車ホームと降車ホームがある行き止まりの小さな駅だが、ドーム風の天井で覆われ、ヨーロッパの終着駅のような雰囲気を醸し出しているところが秀逸だ。全区間均一料金の150円(ICカード利用時は144円)で、カードの場合、降車時は改札機にタッチする必要はない。
環七

環七通りをゆっくり横断する世田谷線


三軒茶屋を出発すると、電車は300~500mおきにこまめに駅に停まっていく。二つ目の若林の手前で環七通りと平面交差する。普通の踏切は、電車が接近すると警報機が鳴り、遮断機が下りるものだが、この「若林踏切」は、電車優先ではない。電車は踏切の手前で一旦停車し、道路の横断信号が青となると同時にスタートし、歩行者と一緒に道路を渡る。通常の鉄道ではなく、路面電車である証とも言える。
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