心理学でいう「心の氷山」って?

水面下の見えない部分はさらに大きく広がっている……

水面下の見えない部分はさらに大きく広がっている……

「氷山」という言葉、映画『タイタニック』などで聞いたことがある方も多いはず。一般的には、海の中に存在する氷の山を指します。しかし、心理学では、この氷山という言葉を別の意味で使います。

「心の氷山」というと、きっといいイメージは浮かばないのではないでしょうか? なんだか怪しい響きですよね。実際に、これは大変なやっかいもの! 私達のストレスや感情の乱れなどのネガティブな現象の直接の原因といっても過言ではありません。

では「心の氷山」とは何を指すのでしょうか?

それは、その人の心に知らぬ間にどっかりとのさばっている信念のこと。何より怖いのは、自分では気づかぬうちに、その信念にコントロールされてしまっていること。非常によくあることなのです。

この氷山は、老若男女だれにでも悪影響を及ぼすものなのですが、今日は、子育て心理学の側面から、この氷山が”親と子”に与える影響についてお伝えしていきます。ぜひ、日々の育児ストレス対策や脱・ネガティブ育児にお役立てください。


心の氷山、主なものだけでこれだけある!

氷山の大きさは、大から小まで、人によって違います。しかし、その特徴はいくつかのパターンに分けることができます。早速、よくあるパパやママの氷山パターンをご紹介しましょう。1つ1つ読んでみて、「あ、これよくつぶやいている」と思うものがあったらチェックしてみてください。


■達成についての氷山
「失敗は弱さの現われだ」
「絶対にあきらめてはいけない」
「もし完璧にできないのなら、失敗も同然だ」
「一度はじめたらやり通すべき」

■対人関係についての氷山
「周りの人を幸せにするのは私の役目だ」
「争いごとはなんとしてでも避けなくては」
「会話を盛り上げなくては」
「沈黙のままでいるのは耐えられない」
「相手に迷惑をかけては絶対にダメだ」

■公平性についての氷山
「みんな私のことをリスペクトすべきだ」
「私にすべての責任がある」
「世の中は公平であるべきだ」
「常に正しくあるべきだ」

■自分の理想像についての氷山
「弱音は吐くべきでない」
「みんなに好かれなくては」
「弱いところを見せたら、自分を下げてしまう」
「人前で感情をあらわにするのは私のプライドが許さない」
「自分の悩みを自分で解決できないなんて弱い証拠だ」

■男女の役割についての氷山
「女性はもっと優しくあるべきだ」
「男ならば、感情は出すべきでない」
「自分の親のようにはなりたくない」

以上、典型的なものをピックアップしましたが、この中にあてはまるもの、ドキッとさせられたものはありましたか?

心の氷山がなぜやっかいかというと、その持ち主である自分を度々困らせるからです。よくあるのが、
  • 同じようなところでつまづく
  • 自分の思いに縛られて、身動きが取れなくなってしまう
という問題。育児の悩み、夫婦の悩み、ママ友の悩み……。別々に見える問題が、実は、突き詰めると、「みんな私のことを尊敬すべきだ。もっと私のことを認めるべきだ」という氷山が原因だったということがよくあります。

氷山は見えているのが先端だけなので、一見すると、たいしたことなさそうに思えます。しかし実はどっしりと、その人の人生をコントロールしてしまっているのです!


親として気をつけたい2つのこと

親は2つの氷山をケアをしていく必要があります。1つは自分の氷山、もう1つは我が子の氷山。

心の氷山は、多くが幼少時からの蓄積で出来ています。小さい頃、
  • ものすごく我慢した記憶がある
  • 気持ちを押さえつけることが多かった
  • 心にムリをかけて生きてきた
場合、それらがどんどん心に積もり、氷山と化し、今に至ります。私達の氷山はこうやってできあがったのです。ということは、今、私達が親となり、子供達と接する中で、我が子の心に氷山を作ってしまっていないか、気にかける必要があります。

例えば、男の子のパパが、
「男なら泣くんじゃない」
「男なら弱音を吐くな」
と繰り返し言っていると、その子はやがて、パパ同様に、自分の男性像としての「強さ」にコンプレックスを抱くようになってしまいかねません。

自分の氷山を見つけ出し、それを溶かすことも大事ですが、子供世代に新たな氷山を作らないこともとても大事。

心にのさばる氷山、一見手ごわそうですが、元々は、普段の会話、つまり親子のコミュニケーションが材料です。そこを改善することが、氷山防止につながります。では、具体的にどうやればいいか? 上に挙げた氷山フレーズにそのヒントが隠れています。

見ると明らかですが、どのフレーズも強すぎるんですね。猶予を与えない語調であるのが特徴です。まずは、パパとママがお子さんに向けて、「○○すべきだ」「○○すべきではない」「○○しなくちゃダメだ」と言うのを止めましょう。このような絶対的なフレーズは、言っている親側、言われている子供側、両方の心にチクリチクリと突き刺さっていきます。そして、「○○した方がいいと思う。どうしてかというとね……」のような、穏やかな表現へとスイッチしていくことがポイントです。



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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。