震災4年目で分かった真実

rikuzen

陸前高田では膨大な土砂によるかさ上げが行われている

2011年3月11日の東日本大震災から4年の月日が流れました。インフラ・鉄道・道路などは着々と進んでいるものの、いまだに20万人以上の避難者が住んでいた土地を離れ、9万人もの人が仮設住宅に入居しています。特に福島の復興は安全・安心の目処がたたず、本当の復興が訪れるまでは、気の遠くなる時間がかかることは明白です。瓦礫がきれいに片付けられ、何もない広い空間が続く東北の海岸沿いに、あの時の危機感はもうありません。今回は今一度震災を振り返り「存在する危機」を認識してほしいと思います。
 

 

津波被害の記憶は「必ず失われる」

2月17日午前8時、東北・三陸沖で震度4を観測する地震が発生。津波注意報が発令された沿岸部では、各自治体が避難指示や避難勧告、注意喚起などを発令したものの、軽微な海面上昇に留まり、実質的被害は発生しませんでした。その日は午後にも岩手県沖で震度5強を観測する地震が発生し、防災関係者の間には緊張が走りました。

しかし現地の人に聞いてみたところ、東日本大震災以降、あまりに多くの揺れに見舞われているため、震度3や4の余震はもう慣れっこになってしまっていて「まあ大丈夫でしょう」「大して揺れなかったので」などの感想しかないという話でした。メディアや防災関係者がいかに危機感を訴えたところで、その温度差は歴然としたもので、全く根拠のない「安心感」を持った住民にはなかなかその思いは届かないのだなあという気持ちになりました。

多くの人間は、災害発生時に「正常性バイアス」という特殊な心理状態に入ります。「きっと大丈夫」と根拠なく考え、「悪いほうに考えない」ゆえに「避難行動をしない」という状況に陥ります。被害のない多くの地震を経験してしまうと「今回も大丈夫」と思い込み、大きな災害時に被害にも「いやな記憶」は頭の隅に追いやって隠してしまう、そんな時期にまた入ってしまったのだな、と思います。「あれだけのことがあったのだから、しばらく被害はない」とする根拠などは実はどこにもないのですが。
 

 

沿岸地域、都市部、下町それぞれの事情

東北の沿岸地域は場所によって、再開発の進み具合の差は歴然としていますが、ある場所では10mものかさ上げが行われていて、新たに住民と産業を呼び戻すための施策が着々と進んでいます。失われてしまった工場、商店街、住宅を呼び戻すには「安全」な場所を作ることがまず第一の条件だからです。山を削り、うずたかく積まれた土地は自分が幼いときに見た風景とはまるで違う場所になってしまっています。

東北の沿岸地域は今も「退出」する人口が後を絶たず、新たな雇用や産業を生み出さない限りなかなか将来を展望するに至りません。それ以前にこれまでの「漁業」を元通りにするための「安全」宣言をしなければならないのですが、「経済」と「防災」はなかなか相容れないもの。今の東北は果たしてどちらを向いているのでしょうか。とにかく東北の沿岸地域はこんど津波被害を受ければ致命的に復興は遠のきます。ハードもソフトもスピードアップしないと戻る人すら確保できません。

そんな深刻な沿岸地域の状況に比べ、被害のなかった都会では、東日本大震災の記憶などは欠片も残っていない人がほとんどです。しかし関東周辺の地震発生予測は日本列島の中でもずば抜けて高く、都市部で起きる自然災害の中で、圧倒的な死者数が発生するのが地震であるということを、あまり意識していない人が多いのは不思議なことです。

都市部では自然そのものから受ける被害ではなく「建物の倒壊」「火災」による死者がほとんどを占めるのですが、そんな経験を持った人は「阪神淡路大震災」の経験者を除けばほとんどいないということもあり、関東に住む都会人は「地震被害」をあまり真剣に考えてはいないように思われます。都会では他にも「人口の多さ」が地震被害を大きくする可能性があります。いったん被害が起きれば、道は逃げる車や人で埋め尽くされ、救急車や消防車は走行不能になります。助けにくるはずの人はやってきません。自ら危機を乗り切る知識と能力のある人だけが生き延びることができるのです。

首都直下型地震の被害想定は何度も再検証が行われ、最新のものでは実に61万棟の家屋が全壊・消失し、2万3000人もの人命が失われると予測されていますが、自分がそのリストに加わる可能性はない、とほとんどの人は考えていると思われます。しかし過去の関東大震災では一ヶ所で4万人もの死者、合計10万人もの死者も発生しています。最悪の条件を想定した場合には死者は7万人もに及ぶという推計もあり、決して別の世界の話ではないことを意識すべきです。

 

では、何を優先すれば命が救われるのでしょうか? >>