シェーンブルン宮殿の由来と歴史

シェーンブルン宮殿本殿

バロック庭園側から見た宮殿本殿

オーストリアを訪れたら誰もが立ち寄る観光の目玉スポット、シェーンブルン宮殿。この地は中世にはカッターブルクと呼ばれた荘園で、ウィーンの森近くにあるために、16世紀頃からは歴代ハプスブルク皇帝により狩猟の館として用いられ始めました。その後女帝マリア・テレジアが夏の離宮として大々的にロココ様式に改造・増築したものが現在の姿で、この地に美しい泉(ドイツ語でシェーン=美しい、ブルネン=泉)があったことから、シェーンブルンと名付けられました。

1996年に敷地全体がユネスコ世界遺産に登録されたシェーンブルン宮殿には、本殿や庭園内に驚くほど多くの見どころが存在します。それでは順に見ていきましょう。
 

シェーンブルン宮殿、本殿内の観光コース

漆の間

(c)Österreich Werbung, Fotograf: Gerhard Trumle 北京製の漆塗り壁画が贅沢な「漆の間」

シェーンブルン宮殿本殿の2階部分は現在一般に公開されています。ここでは、ハプスブルク代々皇帝が謁見や舞踏会に使用した大広間、マリア・テレジアが密議に用いた中国の小部屋、フランツ・ヨーゼフ1世の寝室からバストイレに至るまで、当時の興味深い生活様式をつぶさに見学することができます。本殿の見学コースは主に以下の2つ。

■インペリアルツアー(日本語の音声ガイド付き)
宮殿の西翼を中心に22部屋からなるコースで、見学所要時間は約30~40分。皇帝フランツ・ヨーゼフ1世とエリザベート皇后夫妻のビーダーマイヤー様式の居住空間や執務室などを見学することが出来ます。短時間で宮廷文化を垣間見てみたい人、建物だけではなく庭園群やその他の施設にも時間を割きたい人におすすめです。

■グランドツアー(日本語の音声ガイド付き)
インペリアルツアーよりも長いコースで、見学所要時間は約50~60分。宮殿東翼部にある18世紀の女帝マリア・テレジア時代の部屋なども含まれ、合計40部屋を訪問できるので、当時の雰囲気を存分に味わうことができます。またグランドツアーはガイドツアーも開催されています(ドイツ語、英語のみ)。若干料金が上がりますが、積極的にいろいろと質問したい人はこのガイドツアーを利用してみてはいかがでしょう。
 

WEB予約とシシィチケット。おすすめのチケット購入方法

■WEB予約
シェーンブルン宮殿はオーストリア内でもトップを争う観光地ですので、日時によってはチケットカウンターに長蛇の列ができることがあります。そこで便利なのがWEB予約!こちらのオフィシャルサイト(独英のみ)から見学希望のツアーを選び、オレンジ色のボタンをクリックすると購入サイトに進むことができます。値段や見学コースの内容を詳しく比較できるので便利です。

■シシィチケットを購入
ウィーン1区観光の目玉「ホフブルク王宮」では王宮自体に加え、シェーンブルン宮殿のグランドツアー、7区にある王宮家具博物館の3か所を巡ることができるコンビチケット(シシィチケット)が販売されています。別々に購入するよりも25%お得なだけでなく、これを保持していればシェーンブルン宮殿でも優先レーンから入場することができるのが魅力。各施設につき一回入場でき、一年間有効となっています。

※チケットには入場時刻が記されており、その5分までにゲートまで来る必要があります。遅れた場合には見学がキャンセルされることもあるようですので、ご注意ください。

※学生チケット購入の場合は、現地にて国際学生証 (ISIC)の提示が求められます。

シェーンブルン宮殿訪問の主眼は何といっても本殿の観光ですが、ここにはそれ以外にも多くの魅力的なスポットが存在します。一度にすべて巡るのは大変ですので、目的別におすすめコースを案内したいと思います。
 

動物園や大温室…子供連れにおすすめのプラン

パルメンハウス

1881~1882年に建てられたパルメンハウスはヨーロッパ最大

■Kindermuseum(こどもミュージアム)
子供向けプログラムの一環で、250年前の皇帝一家の興味深い日常生活を体験することが出来ます。当時のお化粧やカツラ文化、狩りの様子などの説明が受けられるほか、最後には皇帝や姫君、侍女や召使などの衣装を身に付けて記念撮影もできるので、ドイツ語がわからずとも子供にとっては印象深い思い出となることでしょう。


 
Tiergarten Schönbrunn(シェーンブルン動物園)
マリア・テレジアの夫で、自然科学に心酔していたフランツ・シュテファン(神聖ローマ皇帝フランツ1世)が創設した動物園で、現存する中では世界最古。1779年には庭園と共にこの動物園も市民に無料公開され、エキゾチックな動物たちは当時大きな関心を寄せられました。現在ではジャイアントパンダやコアラをはじめ、多くの動物が飼育されており、曜日・時間帯によってはパンダやアフリカゾウなどに給餌することも可能です。また園内の林間部に設置されたチロル風山小屋では、ヤギや牛などの家畜を見学することができ、アルプス農家の雰囲気が味わえると子供たちに大人気。園内にはパノラマトレインという移動用バスが用意されているので、歩き疲れた場合にはこちらが便利です。

■Irrgarten(迷路庭園)
18世紀に造られ始めた迷路庭園で、本殿をグロリエッテ側に抜けるとバロック庭園の右手後方に入り口があります。中には4つの異なる迷路が存在するほか、中央には物見やぐらと風水の石が設置されており、子供から大人まで楽しめると評判。冬は迷路の木が枯れてしまうので、春から秋のみの営業です。

■Palmenhaus(大温室)
かつて世界を股にかけたハプスブルク家が、世界中の植物コレクションを展示するために建造したパルメンハウス(大温室)。”クリスタルの宮殿”との異名もとるこの温室は緑の鉄筋に総ガラス張りで、大きさはヨーロッパ随一です。連なる3つのパビリオンは、それぞれ冷帯・温帯・熱帯と3つの気候ゾーンに分けられており、興味深い内容となっています。
 

宿泊やコンサート……カップルにおすすめのプラン

グロリエッテ

(c)Österreich Werbung, Fotograf: Diejun  丘の上に建つグロリエッテ

■グロリエッテ
本殿からバロック庭園を抜け、背後の丘を登ったところにある対プロイセン戦勝記念碑で、古典主義的なコロナーデ(列柱回廊)が圧巻の建造物。夏季にオープンする屋上は、眼下の美しい本殿から遥か街中のシュテファン大聖堂まで俯瞰できる絶景スポットとして有名です。華麗な装飾の施された屋内は現在カフェとなっており、シシィ(皇后エリザベート)トルテやグロリエッテトルテといった、オリジナルのケーキ類が充実しています。

Schloß Schönbrunn Konzert(オランジェリーのコンサート)
昔日にはかのモーツァルトも演奏したと言われる、シェーンブルン宮殿のオランジェリー(オレンジ園)にて毎夜開催されるクラシックコンサート。天才音楽家モーツァルトとワルツ王ヨハン・シュトラウスの名曲の数々が日替わりで繰り広げられるうえ、オペレッタやバレエなども挿入された盛りだくさんの内容となっています。

Schloß Schönbrunn Grand Suite in Vienna(本殿内スイートルーム宿泊)
2014年春、シェーンブルン宮殿本殿内に満を持して待望のホテルがオープン。2つのベッドルームと2つのバスルーム、リビング、サロン、キッチンからなるスイートルームは最大4人の宿泊が可能で、お部屋からはグロリエッテ、ネプチューンの泉、皇太子の庭園などが臨めます。別料金で執事やシェフを付ければ、まるで往時の皇帝や姫君のような気分が味わえることでしょう。ロイヤルファンはもちろんのこと、ロマンティックな雰囲気に浸りたいカップルにぴったりのロケーションです。
 

日本庭園やカフェ・レストラン……行動派におすすめのプラン

ローマの廃墟

1778年完成のローマの廃墟

■庭園のモニュメントめぐり
シェーンブルンの広大な庭園には息をのむような大小の芸術的建造物があちこちに点在しています。走り回るリスたちを眺めつつ、それらを順番に訪問すれば、かなり良い運動になることは間違いありません。

・ネプチューンの泉
本殿とグロリエッテの狭間につくられた、巨大な泉。海神ネプチューンを中心に半人半魚のトリトンや海馬の壮麗な彫刻が立ち並んでいます。

・ローマの廃墟
庭園の装飾として建造された、古代廃墟風の建築物。いかにもローマ風な雰囲気が印象的です。

・オベリスクの泉
本殿を庭園側に出て左斜め前方に進むと見えてくるのがオベリスクの彫刻。安定の象徴である4匹の黄金の亀や、中央の人の顔から流れる水など、細かい描写に注目。

■日本庭園
オーストリアの皇位継承者であり、サライェヴォ事件で命を落としたフランツ・フェルディナントの命により造られたものです。後に日本人作庭師の手により枯山水の石庭や茶室などが設けられ、更にバージョンアップ。バロック庭園の中でもひときわ異色を放つ存在となりました。

Schönbrunner Bad(プール)
施設そのものはモダンながらも、シェーンブルン宮殿敷地内の林に囲まれたちょっと神秘的なプール。旅行中もアクティブにしていたい人で、観光前後にひと汗かくのにおすすめです。プールの入り口は外の公道沿いにあるので、一度敷地を出て入り直してください。

Café Residenz(カフェ・レジデンツ)
体を動かした後には美味しいオーストリア料理を!こちらは本殿入口のすぐ向かい側にある老舗ラントマン系列のカフェ・レストランで、朝食メニューから季節のスープ、ハンバーガーにウィーン風カツレツ、お子様メニューまでと、あらゆるお食事ニーズに応えてくれます。他にも、カイザーシュマーレン(オーストリア風パンケーキ)やアプフェルシュトゥルーデル(オーストリア風アップルパイ)のバニラソース添えなどの温かいデザート類に自家製ケーキ、そして19種類ものウィンナーコーヒーが供されるなど、グルメな旅行者にぴったりの休憩所です。
 

いかがでしたでしょうか?シェーンブルン宮殿は一年を通して、どの季節に訪れても見ごたえのある観光スポット。オーストリア訪問の際には、ぜひ自分好みの巡り方を考えてみてくださいね。
 

行き方や開館時間などシェーンブルン宮殿の基本データ

<DATA>
Schloß Schönbrunn(シェーンブルン宮殿)
所在地:Schönbrunner Schloßstraße 47, 1130, Wien
アクセス:地下鉄4番線 Schönbrunn駅、路面電車 10・60 Schönbrunn駅、バス10A Schönbrunn駅下車

※各施設の開館時間と入場料:施設や季節などにより異なるので、詳細はオフィシャルウェブサイトでご確認ください
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。