今季掲げる、3つの公約とは
ヒジの不安も解消した田中投手は今季、3つの公約を掲げてシーズンに臨む。
「去年と比べると楽。スケジュール的にも余裕がある。いかに自分のペースでやりたいようにできるか、というところが大事かなと思います」
移籍1年目の昨季は、未体験の連続でバタバタだった。渡米の際も大雪で、荷物が多かったため、自身でチャーター機を用意した。今年は一般の航空機を利用し、荷物も最小限。この落ち着きは、2年目というだけではなく、右ヒジの不安がなくなってきたからに他ならない。ヤンキースのロスチャイルド投手コーチは、「タナカとは連絡を取り合っている、彼のヒジは健康だ。我々が用意したメニュー通りにトレーニングをしており、いいオフを過ごしている」と話している。首脳陣への報告通りだとすると、心配は無用かもしれない。
右ヒジが健康という前提条件で、田中は今季、3つの公約を掲げている。1:30試合以上の先発登板、2:200投球回達成、3:12の勝ち越し、だ。
昨年は7月9日(日本時間10日)に右ヒジの痛みを訴えてDL(故障者リスト)入りしたため、先発は20試合にとどまった。故障さえなければ、30試合は難しくない。また、昨季の投球回は136回1/3。ローテーションを1年間守れば200投球回は自然と到達する。そして、勝敗は13勝5敗で、勝ち越し数は8。楽天最終年の2013年は24勝0敗でチームに貯金24をもたらせた田中は、「せめてその半分」という思いから勝ち越し12を公約の1つにした。
今季は尊敬する先輩であるベテラン・黒田が広島へ復帰してチームを去った。田中に必然的に求められるのはエースの働きである。そのうちのひとつが開幕投手だ。
「今はそこまで考えていない」と言うが、「メジャー30球団で30人しかいない。スペシャルなもの」と自覚している。オープニングピッチャーとは「今年のウチはこのピッチャー中心でいく」と宣言するようなもの。その栄誉はキャンプが順調に消化すれば、自然と田中のところに回ってくるだろう。
「一番は健康であり続けること。10月から経験したことのない長いオフをゆっくりできた。今年は30球団で一番短いオフになるのがいいです」
ワールドシリーズに出場すれば、11月1日の27歳の誕生日は、まず間違いなく戦っている最中だ。野球選手として最高の幸せを味わうことをメジャー2年目の誓いとした。