「モノ依存」「セミナー依存」の人がお金持ちになれない理由とは
浪費をなくす必勝法
――せっかくマネープランを決めても、浪費癖のある人にとって、貯金は至難の業です。浪費を抑える良い方法はあるのでしょうか?
北川邦弘さん 自分の軸となるビジョンを定めると、必要のないものに目が向かなくなりますから、自然とムダなお金を使わないようになります。そもそもモノに依存しがちな人は、自己信任が低い人。“自分の力でどうにかできる”と、自分を信じることができないから、モノに頼ってしまうのです。
――自己信任が低いとは?
モノに頼らないと貯金もダイエットもできないと思い込む
北川 例えば先日、「今度お金貯まったら、腹筋の新しい機械を買って運動しようと思うんです」とおっしゃる方がいたんですね。僕が「運動なら道具がなくてもできますよ?」と言うと、そんな努力はできない、自分には無理だと首を振る。“モノがないと、なりたい自分にはなれない”と考えてしまうのは、自分に対する信頼が薄い証拠です。だから、モノ頼みになって次から次へと浪費を重ねてしまう。そしてそれを我慢することがストレスに感じるわけです。最近だと、モノ依存ならぬ、セミナー依存になっている人もみかけます。自分のビジョンが定まっていないから何を学んでいいかわからず、やみくもにセミナーや勉強会に行きまくる。軸さえ決まっていれば、必要な知識をピンポイントで学ぶことができますから、本を読んで、“この人の話が聞きたい”とか“この知識をもっと深めたい”と思えるものを選んでセミナーに行けばいい。無駄なお金をかけずにスキルが身に付きます。
――無駄のない、費用対効果の高い自己投資が可能になりますね。
北川 自分の頭で考える習慣を持つことも必要です。教育システムの問題もあって、学ぶ=世の中で正解と思われることにたどり着くことだと、考える人が多い。だから、なんでも人に教えてもらったほうが早い、検索したほうが早い、と思いがちですが、そこにはどういう課題があって何をしたらいいのかを自分の頭でまずは考える。そんな癖をつけることで、学んだことが自分のものになります。
1億円もっていても不安な理由とは
―― 浪費体質とは逆に、“貯金が減るのが怖くてお金を使えない”という人もいます。北川 それも、自分への信頼が薄いからです。“健康な体さえあれば、また労働でお金を稼げる”と自分を信用できれば、お金を使うことに恐怖感がなくなるし、たとえ失敗しても復活できると思えるから、チャレンジする意欲もわいてきます。その結果、むやみにお金に執着せずに済む。“このお金を使って何をしよう”“どういう体験を買おう”と、前向きに考えられるし、自分を高めて自信をつけることにもつながります。
――不安が不安を呼ぶような負のスパイラルから脱出することができますね。
北川 それが出来ないと、たとえ億のお金を手にしても常に不安がぬぐえず、ストレスにさらされてしまいます。そういう人もたくさん見てきました。自分のビジョンを描き、そこからお金のことを考えていく。マインドセットしなおすと、皆さんチャレンジングになるし、無駄遣いが減って浪費も減るというわけです。
★次回は北川さんが億単位の借金から復活した方法をおうかがいします
教えてくれたのは……
北川邦弘(きたがわ くにひろ)さん
オールアバウト資産運用ガイド、CFP。総合商社不動産デベロッパーを経て、現在は独立系ファイナンシャル・アドバイザーとして会社設立。人生戦略全体のトレーナー・コーチとして活躍する。ベストセラー『なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか?』や『定年までに資産1億円をつくる ロスジェネ世代家族持ちへの新マネー戦略』など著書多数。オールアバウトマネーにて『大人のお金 トレーニング講座』も好評連載中。
取材・文/西尾英子
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