スクランブラーはすべてが平均点以上のオールラウンダー

ダートシーンがよく似合うトライアンフ スクランブラー

ダートシーンがよく似合うトライアンフ スクランブラー

まずは市街地でのテストランでその性能をチェック。ベースがボンネビルということもあり、動き出しが滑らかなのが好印象。1~3速でスピード調整を行ないながら走り回ると、ツインエンジン特有の吹け上がりからやや滑らかさに欠けますが、日本の厳しい規制に対応せねばならない輸入メーカーモデルという前提から見れば、違和感のうちには入りません。そもそもトライアンフはもっとも厳しい基準からセッティングを出しているので、本国仕様とまったく同じなのです。

トライアンフ スクランブラー

トライアンフ スクランブラー

前後ともしっかりと足が伸ばされているので、コーナリングや交差点の右左折、車線変更でもしっかりバンクし、滑らかにクリアしてくれます。中排気量モデルにはないパワフルな走りも魅力ですね。ただ、スタイルこそオフロード系ながら、車重がそこそこあるので、操れるようになるまでは若干慣れの期間が必要でしょう。でも、難しいオートバイを操れるようになることこそライダーの醍醐味ですから、とてつもなく速いスーパースポーツとは異なる楽しみ方、遊び方を教えてくれるモデルだと言えます。

トライアンフ スクランブラー

トライアンフ スクランブラー

続いて河原の砂利道や未舗装の駐車場で乗り回してみましたが、「むしろこっちの方が安定感あるんじゃないの?」と思えるほどの好バランス。もちろん現代のオフロードバイクと比べると車重が天と地ほど差があるわけで、ダートや林道で操るのはカンタンではありませんが、大きな石がごろごろ転がっているようなガレ場はともかく、未舗装道や林道ぐらいなら難なく走り抜けてくれます。その排気量からそこそこパワフルな走りもしてくれるので、ハイウェイだって軽々走れちゃうんです。“すべてが平均点以上のオールラウンダー”と評していい一台でしょう。

クラシック系ビッグオフとして楽しみたい

トライアンフ スクランブラー

トライアンフ スクランブラー

1960年代当時のオートバイの重量は今の大排気量モデルほどではなく、スクランブラーのスタイルに求められていたのは“軽くて、悪路でも平気で走れること”だったのでしょう。その進化型が現代のオフロードバイクで、これほどのパワーと重量を備えたスクランブラーというのは、ある意味特異モデルとも言えます。とすると、このスクランブラーは現代で言うところのビッグオフローダーにカテゴライズされるモデルなのです。

[左]BMW Motorrad R 1200 GS Adventureundefined[右]TRIUMPH Tiger 800 SE

[左]BMW Motorrad R 1200 GS Adventure [右]TRIUMPH Tiger 800 SE

ビッグオフとは、BMWバイク R 1200 GSやトライアンフ タイガー800に代表される大陸横断バイクのこと。その昔、ハリウッド俳優のユアン・マクレガーがこのBMW R 1200 GS アドベンチャーに乗って世界一周をしてみせたのですが、そこで実証されたとおり、世界のあらゆる道を走破するための性能と装備を兼ね備えた究極のモーターサイクルのカテゴリーなのです。これらモデルと比べると、こと性能という点ではスクランブラーは彼らに遠く及びません。

クラシカルなビッグオフという点で見れば、トライアンフ スクランブラーは唯一無二と言える存在です

クラシカルなビッグオフという点で見れば、トライアンフ スクランブラーは唯一無二と言える存在です

ただ、究極のビッグオフと呼ばれるモデルの性能を最大限に引き出す遊び方をするのではなく、クラシカルな雰囲気をまといつつオフローダーとしての性能も味わわせてくれるのがこのスクランブラーというモデルの魅力。古き良きオートバイらしさを持ち合わせているところなど、“いいとこ取り”をしている一台だと言えます。個人的には足まわり、ハンドル、シート、ステップ位置などカスタム(というよりは強化)したいポイントがありはしますが、ノーマルのままで積載能力を高めてやれば、それこそ北海道ツーリングでその力を大いに発揮してくれることでしょう。北海道に行ったら必ず見に行きたい神の子池なんて、たどり着くまでかなりハードな砂利道ですからね。

旅情を存分に味わわせてくれるトライアンフ スクランブラー。オートバイとしての性能は申し分ないので、遊び方がはっきりしているオーナーが頑張って付き合ってやれば、スクランブラーとしか行けない、スクランブラーでしか見られない風景を生み出してくれると思います。




※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。