貯金が5000万円でも将来を心配する読者からのお金相談

このコーナーでは、読者からの悩み相談を取り上げています。気になったものを取り上げていきます。今回、第2回目のご質問は、45歳の男性、Kさんからです。

「収入が先細り、今後の年金制度崩壊などを不安に感じています。親の家に同居しているので家賃を払う必要はありませんが子ども1人(9歳)は今後お金がかかりますよね?夫婦共働きで世帯年収は1000万円ですが、教育費、年金や老後資金のことを考えるとお金が足りるのか、今後が不安になってきます。教育費や老後資金としていくらあれば安心できますか?」

埼玉県在住・Kさん 共働き(子ども1人)・持ち家 会社員 世帯年収1000万円(額面)貯蓄4800万円

ファイナンシャルDr.からの回答

確かに、年金崩壊、インフレ、収入先細りなどのウワサを聞くと、不安になりますよね。生涯にわたるお金の流れを予測するには、正確には緻密な計算をする方法があります。保険会社のサイトや、ファイナンシャルプランナーのプラン作成サービスもなどもあります。そうした外部サポートを利用するというのも、一つの方法ですが、ここでは、ザックリとした試算をしてみます。

生涯支出は1.9億円

3人ご家族の現在の生活費はおいくらですか?たとえば、住居費別で毎月30万円の資金が必要と仮定します。そして、定年まであと20年と考えれば、生活費支出の累計は、その20年分ですから、7200万円となります(30×12×20)。

お子さんの教育費は1,000万円

お子さんの教育費には、公立か私立か、理系が文系か、自宅通学か下宿かなどによって、かかる経費は異なります。高校までは公立で、大学は私立、理系、自宅通学と仮定すると、小学校から大学卒業までの総額は、1000万円と予想できます。

夫婦二人の老後生活費1億800万円

老後生活費についても、Kさんのライフスタイルを考えて見積もりをする必要がありますが、現役世代のままの生活費と考えると、65歳からの30年間で1億800万円です(30×12×30)。以上の、現役生活費、教育費、老後生活費を足すと、支出合計は1.9億円となります。

生涯収入は2.9億円

一方の収入ですが、残り20年間で年収が同じだった(夫婦で額面1,000万円)と仮定します。税金、社会保険などを控除された手取りが7割だとすれば、

1000万円×0.7×20=1億4000万円

となります。

公的年金は、現役世代の年収の5割がもらえると厳しめに考えておくと、1億5000万円(1000×0.5×30)ですから、収入合計は2億9000万円。まったくの概算ですが、生涯の収入と支出を比較してみましょう。

1.9億円<2.9億円+貯蓄4,900万円

以上の通り、お二人が95歳まで生きても、十分に足りることがわります。しかし、ここには物価上昇と年金崩壊を見込んでいないという甘さが潜んでいます。それらを明らかにして、必要な対策を考えてみましょう。

物価上昇2%の場合

今から50年間に、物価が毎年2%で上昇を続けたとします。その場合、現役世代の生活費は7200万円から9400万円、老後の生活費は1億800万円から2億2300万円と跳ね上がります。

たった数パーセントの物価上昇でも、それが何十年も続くと、家計や人生設計を破壊するインパクトがあるのです。教育費は、1300万円みておくと、支出合計は、3億3000万円となります。収入が変わらず2.9億円と貯蓄が4800万円ですから、合計で3億3800万円。

3.3億円<3.38億円

まだ、足りていますね。すばらしいです。

年金崩壊に備える対策

上の試算では、毎年2%の物価上昇が続いても、公的年金が増えないことを前提にしました。すでに年金が崩壊したといってよいレベルです。しかし、Kさんの不安は収まらないような気がしますので、さらに悲劇的な未来を想定してみます。公的年金が現役世代の平均年収の5割ではなく4割にまで減り、さらに物価上昇に見合う年金増額がないと仮定すると、不足額はいくらになるでしょう。

生涯受給年金は、

1000万円×0.4×30=1億2000万円

すると、収入合計は、2.6億円ですから、貯金を足すと、プラスの資産が3億900万円。

3.09億円−3.3億円=−2100万円

老後資金が2,100万円足りなくなります。老後に足りない資金を作るには、労働収入をあげるか、金融収入をあげるかの道がありますが、シンプルに考えるために金融収入に絞ります。65歳のときに2100万円のじぶん年金を作るためには、今の預金のうちの800万円ほどを20年間5%で運用すればいいのです。そんなに難易度の高いことではありません。

お金を守るより働かせる

Kさんには給料があって、貯金も多く、厚生年金もあるので、とても恵まれている方です。私のお客様で、厚生年金に加入していない自由業や自営の方は、毎月20万円くらいを老後のために積み立てて準備している人もいます。それに比べたら余裕です。

ただ注意したいのは、お金が足りなることを心配して、貯金に頼ると、お金は目減りするということです。まして、将来の年金不安やインフレに対応するためであれば、なおさら、お金を増やさねばなりません。

日本人の歴史において、お金を貯めこむだけで、生涯が安泰になった時期など、ほんのわずか(昭和の高度成長期)しかないことを知ってください。せめて物価上昇に負けない程度の資産運用を、人生の武器として身につければ、鬼に金棒というものです。

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