花をきれいに撮るためにもっとも必要なのは、花が美しく輝いて見える瞬間を見つけることです。光を見る目ができるようになれば、プロ並みの花の写真を撮ることも夢ではありません。美しい自然光は太陽の動きとともに変化します。花の写真はシンプルな撮影法で、手早く撮影するのに越したことはないのです。
美しい花の写真を簡単に撮る方法
暮らしの中に花があると、それだけでほっと心が和みます。美しく撮れた花の写真をプリントして、部屋のインテリアとして飾ったり、パソコンのデスクトップにするのもいいですね。デジカメで上手く写真を撮りたいと思っている人は、かなり多いと思います。今までにも、花の写真の撮影を指南した経験があるのですが、みなさん、プロのようにクォリティの高い写真を撮るためには、照明機材を使って難しいライティングをしないといけないとか、専門的な技術が要求されるのでは、というような誤解を持っているようです。
何はともあれ、この写真をご覧ください。パッと見は高性能な一眼レフで撮影した写真かと見紛うほどですが、特殊な技術やライティングは一切つかっていません。窓から降り注ぐ自然光だけでも花は生き生きとしています。こんな美しい写真が簡単に撮れるものなのか?と驚いていませんか。コツさえつかめれば、花は美しく撮れるものです。それをお教えしましょう。
カメラはコンデジで十分!
現代のデジタルカメラは飛躍的な進化を遂げました。だれにでもそれなりに美しい写真が撮れるようになったのです。カメラの選択は高画素、ズーム機能、手ぶれ防止機能付を選んでください。撮影はプログラムモードで問題ありません。プログラムモードは被写体の明るさに応じて、最適な絞りとシャッター速度の組み合わせをカメラが自動的に決めます。基本として、曇りのような暗いとき、手ぶれを防止するために早いシャッタースピードを選び、晴天時の明るい時にはピントの合わせやすい最小絞りを選択します。いずれの場合でも、シャッタースピードは早く、絞り値を小さく(被写界深度が浅い)するように設定されています。花にピントを合わせると、それを取り囲む背景がふんわりしたボケ味になり、花の立体感を表現できます。カメラは花の撮影に最適な設定を自動的に判断しているわけです。
ただし、撮影時の天候状態や明るさ、花の色によって写真の明暗に差が出てきます。その場合は露出補正(明るさ補正)を使い、最適な明るさを選択しなければなりません。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、経験を積み重ねていくと、簡単に撮影することができるようになるはずです。
さらに上を目指したい方や、撮影経験が豊富な方でしたらコンパクトミラーレスがおすすめです。一眼レフと同じようなきれいな写真が撮れ、レンズ交換もできて表現の幅が広がります。今回掲載した写真もミラーレスを使用しました。
光の捉え方だけ意識すればいい
プロとアマチュアのもっとも異なる点は「光」の捉え方です。光さえ見る目があれば、花は簡単に美しく撮れるものです。花の持っている立体感や質感、透明感は「逆光」によって際立ちます。カメラの位置から見て逆方向から光が照射されるように花を配置すると、その効果を感じることができるはずです。カメラと光の間に花がもっとも美しく見える場所があるはずです。「この角度から光が入ると、このような雰囲気で写る」という経験を積み重ねていくと、自然に光を見る目ができてきます。
じつは、理論や撮影テクニックは、撮影経験が多くなれば自然に身についてくるものです。最初からそれを覚えようとするほうが無理なのです。デジタルカメラの進化により、誰でも容易に質の高い写真を撮れるようになったからこそ、本当に美しい一瞬を見極めることが大事であり、それができれば、後はカメラに任せればいいのですから。
さらに花を美しく撮るには
先日、花の写真だけに特化した写真集『MOMENT OF TRUTH』を上梓しました。この本は、小川義文が自宅で撮影スポットを捜し出し、ライティングは一切せず、窓から差し込む美しい自然光だけで輝いた花を撮影した写真集です。使用したカメラはコンパクトデシカメとミラーレスのみ。お手軽なカメラで、特殊なテクニックも使わずにここまで美しい花の写真を撮れることを証明してみせました。この写真集に格納された作品を見るだけで、光と影が織りなす美しい一瞬を見極められるようになるはずです。
代官山蔦屋書店、アマゾンで購入することができます。
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