気になるあの人にお金突撃インタビュー/小宮一慶さんのお金持ちビジネスマンになる心得

お金持ちになれる人は、お金ではなく仕事を追う

お金に走ったらお金は寄ってこない!人にも企業にもこのパラドックスが当てはまると言うのは小宮一慶さん。ではいったい何を追い求めるか?仕事そのものを追うことこそ、お金持ちへの近道。今こそその単純な真理を取り戻すべき時が来ていると言います。最終回は仕事との関り方についておうかがいしました。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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お金持ちになれる人の仕事とのカンケイって?

お金持ちになれる人の仕事との向き合い方

お金持ちになれる人の仕事との向き合い方

お金を稼いでいる人たちの話を聞くと、「仕事が大好き」という人ばかりだと気付きます。「お金は仕事が好きな人に集まる」と言ってもいいかもしれません。

お金を稼ぐ経営者、持続的に成功し続けている経営者をたくさん見てきた小宮一慶さんが語る、「お金持ち法則」の最終回はお金持ちになれる人の仕事との関り方です!(第4回目のインタビューから続きます)

目先の利益に走った結果が日本企業の没落につながっている

仕事が好きだから良い仕事をする。良い仕事に対して人が「いいね」と評価をし、それに見合った対価を払ってくれる。するとやりがいが生まれてますます仕事が好きになる。良いスパイラルになれば、自然とお金が稼げるようになっていくはずです。

当たり前すぎる? ところがこの当たり前ができなくなったところに、いまの日本経済の停滞、企業の没落があると思っています。バブル崩壊後の危機を乗り越えるために、また台頭してきた米国型の金融資本主義に備えるべく、企業は自社の株価を高くするため株主優先の経営に切り替えました。

その結果、目先の財務関連の数字をよくすることに没頭し、肝心の仕事を楽しんでやる姿勢や、顧客が喜ぶ商品を作るという姿勢が失われてしまいました。いかに売り上げや利益を上げるか、そちらのほうに関心が移ってしまったのです。多くの人が「働きがい」を無くしているのもこのことが大きいと思います。

その結果、一時あれだけ強かった日本の企業が一気に開発力、競争力を失ってしまった。効率主義に毒された創造性のない硬直的な組織になって、消費者が面白いと思う商品、買ってみたくなる魅力的な商品を生み出せなくなってしまったのです。

いい例が家電業界です。東芝、NEC、シャープ……世界に冠たる企業が軒並み没落。かつてウォークマンなどで一世を風靡し独自の商品開発で世界に名を轟かせたソニーなど、いまや見る影もなくなってしまいました。

私自身の仕事の仕方が変わった恩師の言葉とは?

お金持ちになりたい人が心がけるべきこと

お金持ちになりたい人が心がけるべきこと

「お金を追うな、仕事を追え」

これは私が尊敬する曹洞宗円福寺の藤本幸邦(こうぼう)先生の言葉です。先生は2009年に99歳という大往生を遂げられましたが、師の言葉は今でも私の胸に強く刻まれています。日本の企業が弱くなったのは、じつはお金を追ってしまって、仕事を二の次にしてしまったからではないでしょうか?

働きがいをなくすのも、良い仕事ではなくお金を追うからです。

私が顧問をしている会社に、機械整備を専門にしている中堅企業があります。この会社はまさにお金を追うのではなく、仕事を追う会社。良い仕事をすることがまず大前提にあって、会社は良い仕事をする社員や従業員を認め評価しています。そして思い切って仕事を任せています。若い社員の中には、「朝、会社に来るのが待ち遠しい」という人もいます。お客さまや、周りの同僚から誉められ、認められているからです。

そういう会社だからでしょう。社員一人ひとりが専門能力を生かして楽しんで仕事をしています。従業員が自分の工具を宝のように家に持ち帰り、磨いてまた現場に持ってくる。そんな会社の雰囲気、仕事の仕方はお客さまに当然伝わります。信頼できる会社だ、良い仕事をしてくれる会社だという評判が広まり、好不況にかかわらず得意先をどんどん増やし、売り上げはずっと右肩上がり。

100人以上いる社員全員が2年に1回海外へ社員旅行に出かけ、給与やボーナスももちろん同業よりも多い。まさに仕事を追う真摯な姿勢が顧客に支持され、結果として収益、お金につながっている実例です。このシンプルな事実を私たちは再認識するべきではないでしょうか? 

企業だけじゃなく、個人でも全く同じことが言えます。何か仕事をする際にいくらになるか、お金の計算ばかりしている。ちょっとそれは割に合わないと思えば手を抜いたり断ったりする。そういう人物には大きな仕事を任せようという気にはなりません。松下幸之助さんは、仕事の喜びをお金に代えられると思っているうちは本当の仕事の喜びを知らないとおっしゃっています。そして、とても逆説的ですが、お金に代えがたいほどの仕事の喜びを知った人のほうが、お金を稼げるようになっているのです。

お金云々ではなく仕事をすることが好き。そして実際に良い仕事をしている。そういう人物なら、多少大きな仕事を任せても前向きに取り組んでくれて、いい結果を出してくれるに違いない。クライアントであれ経営者や上司であれ仕事を頼む方はそう考えるでしょう。

お金を稼ぐ人はお金を追わない。良い仕事に集中する。そうすれば、楽でない仕事が楽しくなる。お金はあくまでも結果です。実際にそういう人にこそ仕事もお金も集まってくる。シンプルな法則をいまこそ私たち一人一人が心に刻むべきだと思います。

★小宮さんのインタビューは今回で終了します。ご愛読ありがとうございました!

【過去のインタビュー記事をチェック】
第1回 スマホで新聞を読む人はお金持ちになれない?
第2回 パスモやスイカに頼っている人はお金持ちになれない?
第3回 金持ちになれる人の生き金の使い方!ムダ金との違い

小宮一慶(こみや・かずよし)さん

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経営コンサルタント、株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役、名古屋大学客員教授。1957年、大阪府生まれ。81年京都大学法学部卒業後。東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。米国でMBAを取得後、同行で経営戦略情報システムやM&A携わる。その後岡本アソシエイツに転職。国際コンサルティング業務にあたる。96年、株式会社小宮コンサルタンツを設立。企業規模、業種を問わず幅広くコンサルティングを行う。また年100回以上の講演や新聞・雑誌の執筆、テレビ出演などでも活躍。おもな著書に『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(ディスカバー21)、『35歳までのお金の教室』(三笠書房)など、著作は110冊を超える。

取材・文/本間大樹
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