「家族のため……」に潜む本末転倒
「仕事が終わらなくて帰れない」状態で自分も家族も納得しているのなら別にいいんです。他人がとやかく言うことではありません。しかし、仕事に人生をコントロールされ、自分も家族も納得できる人生を送れないというのでは、本末転倒ではないでしょうか。失われた時間は戻ってきてはくれません。時間は有限です。いつか必ず子どもともパートナーともお別れしなきゃいけないときが来ます。それが30年後かもしれませんし、明日かもしれません。それはわかりません。でも確実なのは、今、この時間も、家族と過ごせる時間は1分、1秒と減っているということです。現在のライフスタイルに、家族も自分も納得していないのなら、何かを変えなきゃいけないですね。
では何を変えればいいのでしょう。「仕事>家族」という価値観を変えることこそ、最初の一歩だと思います。
生きるために仕事は必要です。子どもができて、家族を守らなければいけないという意識が強まればこそ、もっと仕事をがんばろうと思うのは当然です。そうでなきゃ困ります。でもそこで「仕事の優先順位>家庭の優先順位」の価値観になってしまうと本末転倒の谷底に転落していくのです。「仕事がなかなか終わらなくて子育ての時間がない……」と嘆くお父さんの多くは、知らず知らずのうちに「仕事>家族」という価値観に支配されてしまっているのだと思います。社会全体にはびこる価値観ですからね。染まってしまうのはしょうがありません。
まずは意識の上でのワークライフバランスをとる
いわゆるワーキングマザーにとっては、「お迎え」や「子どもの世話」などという家族のためのタスクが、会社のためのタスクと同等の優先順位を持っています。それでこそ「家庭と仕事の両立」だと思います。男性もそういう意識で働いてこそ本当の「男女共同参画社会」だと思います。仮に、男女が同じ時間だけ育児や家事や仕事をやっていたとしても、男性の中に「仕事の優先順位>家族の優先順位」という意識があるうちは「男女共同参画社会」とは言えないと思います。逆に、たとえば夫婦での話し合いの結果、時間的には妻のほうが家庭にいる時間を長くするライフスタイルを選んだとしても、夫が意識の上で「仕事の優先順位=家族の優先順位」というバランスをとり、仕事上のタスクと家族のためのタスクを同等に考えてライフスタイルを組み立てていれば、それは「男女共同参画社会」といえると思います。
「仕事の優先順位=家族の優先順位」と意識する男性が増えれば…
個人が意識の上でのワークライフバランスをとることで、その人のライフスタイルが変わる。より多くの人の意識の上でのワークライフバランスが変わることで、総和として社会が変わる。そうすることで、「男女平等参画社会」も実現する。
男女平等参画社会になったら優秀な女性がますます社会に進出できるようになります。競争倍率が上がることで、男性としては相対的なポジションは悪くなるかもしれませんが、社会全体としては、優秀な人材が増えることはプラス以外の何ものでもありません。本当の意味で社会全体が良くなれば、子どもたちの未来が明るくなります。
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