子供はファンタジーとリアルを上手く使い分けている

子供の心理で絵本を選ぶと意外な効果が期待できる

子供の心理で絵本を選ぶと意外な効果が期待できる

子供はファンタジー好き、これはきっと大人なら誰もが認めるところですよね。でも、数々の研究により、子供達はかなり早い段階から、ファンタジーはファンタジー、現実の世界は現実の世界と区別をつけていることも分かってきています。すでに4歳くらいになると、アニメのキャラクターが実際には存在しないということに気づいているそうです。

では実際に、子供達はファンタジーストーリーで得たものを、実生活にどれくらい持ち込むものなのでしょうか?


子供達は本の世界をどれくらい実生活で試す?

アメリカの大学が、3~5歳の33人の子供達を対象にある実験を行いました。まず、半分の子供達には想像が膨らむファンタジー満載の物語を、もう半分の子供達には身近に起こりそうなリアルな物語をそれぞれ読んで聞かせました。
  • ファンタジーバージョンの内容:少年と宇宙飛行士が敵のロボットを避けながら、仲間を救出するというストーリー
  • リアルバージョンの内容:ベビーシッターとかくれんぼをしている男の子達が、おもちゃを見つけるというストーリー
一方はファンタジー、もう一方はリアル、とセッティングは真逆。なので、一見すると共通点がなさそうに思えますが、実は物語から得られる情報を酷似させていて、どちらのストーリーにも、次の2つの問題解決法が埋め込まれていました。

  1. 相手に見つからないために、物の背後に身を隠すというテクニック
  2. 手で届かない物体は、紐を使ってたぐりよせるというテクニック

この実験に参加した子供達は、物語を通し、この2つのテクニックをどれだけ自分のものにできたのでしょうか?


問題解決力アップに役立つのはファンタジー、リアル、どっち?

読み聞かせ後、子供達に、これらのテクニックを実際に使える場面に遭遇させました。子供達は、聞いた話と同じ行動を起こせたのでしょうか? 起こせたとしたら、上の2つの問題解決法のうち、活用したのは1つだったのでしょうか? それとも2つとも実践できたのでしょうか?

結果は、
  • ファンタジーのお話を聞いた子供達が、実践で使ったテクニックの数は、0.64個。聞いた内容を、現実に当てはめる確率はとても低かったということです。
  • リアルな物語を聞いた子供達が、実践で使ったテクニックの数は、1.36個。ざっくりと言えば、みな1つ以上は物語で得たテクニックを使ったということ。

スキルの習得には現実離れし過ぎない方がいい

子どもはファンタジーが好き。だから、毎日の生活でも、きっとファンタジーの世界から学んだ多くのことを活用しているのではという気がしませんか? でも実は違うんですね。逆に、現実世界とのギャップをしっかり把握していて、区別をしているのです。

今回の研究で分かるのは、ファンタジーにはファンタジーの役割が、リアルストーリーにはリアルストーリーの役割がそれぞれあるということ。親が、子供に何か教えたい、伝えたいという目的で本や絵本を選ぶ際は、普段の生活から離れ過ぎないストーリーがおすすめのようです。身近にありそうな展開の方が、子供にとっては、すぐに実践に移しやすいのですね。


*出典:学術誌 Child Development (2011) 「Preschoolers’ Quarantining of Fantasy Stories. 」より




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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。