フラワーラインを快走した先には……
絶品ハンバーガーで腹ごしらえしたら、再びバイクにまたがってフラワーラインを駆け抜けます。ここに広がる景色は、日常にはない壮大なもの。コーナーも急すぎないので、ほどよいスピードで流しながら景色と自然の薫りを味わえるのです。たまの休日、ひとりで楽しむ贅沢なひとときがこの瞬間に凝縮されていますね。そんなフラワーロード トリップの道中に、こんなスポットが。おそらく30~40代の方はご存知かと思います、テレビドラマ『ビーチボーイズ』(1997年)の主な舞台として登場した民宿ダイヤモンドヘッドがこんなところに。当時人気が高かった反町隆史さんと竹野内豊さんのダブル主演というこのドラマ、平均視聴率が20パーセントを超えていたという結果からも、その人気ぶりが伺えようというもの。いやー、当時は私も欠かさず観ていたものです。調べてみると、17年も昔のドラマなんですねぇ。トシ感じるわぁ……。当時は広末涼子さんが17歳、稲森いずみさんがまだ25歳だったそう。「え?あの大人びた雰囲気で25歳とかウソだろ?」と、よく分からない慌てっぷりで申し訳ございません。
ちなみに現在は喫茶店に姿を変えていますが、ご店主(マイク眞木さんではありませんよ)の体調が芳しくないため、不定休での営業になっているようです。
ハーレーをこよなく愛するピザ専門店
そのダイヤモンドヘッドからバイクで一分ほどのところにあるのが、ピザ専門店『ピザインディーズ』。千倉郵便局のすぐ隣りで、真っ赤なアメリカンガレージハウスがその目印です。大手飲食店で働いた経験を持つご店主の金元さん、ピザ専門カーでの移動販売行脚を経て、2008年に地元千倉で独立。休日には多くのお客さんで満席になるほどの人気ぶりです。
インディーズの魅力は、500度を超える高温を生むオリジナルの薪窯。フラットなパイ生地に房総の海産物や自家製ベーコン、自家農園で穫れた野菜などをふんだんに散りばめ、超高温で一気に焼き上げます。短時間での焼きは食材の旨味を一瞬で引き出し、ジューシーな味わいをもたらすのです。当然待ち時間だって短くて嬉しいところですね。
さらに、バイク乗りにとってもうひとつ楽しいのがコレ、金元さん夫妻の愛車ハーレー・スポーツスター2台とガレージハウスのような店内の風景。実は金元さん、アメリカのモーターサイクルカルチャーをこよなく愛する御仁で、毎年アメリカで開催される世界屈指のバイクイベント『デイトナバイクウィーク』に四度も足を運んだほど。金元さん愛用の工具類やこれまで買い集めた数々のグッズ、お宝写真集や昔のバイク雑誌など、オートバイ好きにはたまらない空間が広がっているのです。今やハーレー乗り御用達のフードショップとなったピザ インディーズには、アメリカの薫りがそこかしこに漂っています。
大事なカフェタイムもアメリカンに
走りっぱなしじゃシンドいですから、当然休憩も必要なツーリング。それも、できればコンビニの缶コーヒーじゃなく、ご当地カフェでゆったりとくつろぎたいところですよね。先ほどのピザ インディーズからバイクで数分ほど走ったところにあるカフェ『ストロベリーポット』は、一風変わったアメリカンな雰囲気を楽しませてくれるカフェなのです。それがこれ、「ファイヤーキング」です。これはアメリカが生んだ耐熱ガラス容器のことで、その歴史は戦前から続いており、実に70年以上の伝統を誇るアメリカの工芸品です。元々は都内で会社員をしていたというご店主の鈴木さんが趣味でファイヤーキングをコレクションしていたそうで、相当数が集まったこともあり、「ファイヤーキングが楽しめるカフェを」と、地元千倉にて創業。
1970年代に全盛期を迎えたファイヤーキングは、メーカーやショップの宣伝ツールとしても使用されたそうです。1970年代と言えば、ハーレーダビッドソンの歴史のなかでももっとも熱かった時代。この頃のアメリカは、今とは違った盛り上がりを見せていたのでしょう。ちなみにこのマクドナルドなどアメリカの有名メーカーブランドが入ったビンテージのファイヤーキングは、マニアのあいだですごい値段で取り引きされるほどの価値を持っているそうです。この独特の質感とともに楽しむカフェタイム、遠い昔のアメリカの薫りまで運んでくれるようです。
もうひとつご紹介したい南房総のアメリカンカフェ、それが『須藤牧場 アイスカフェ CowBoy』です。場所は、ピザ インディーズからバイクで数分ほど北上したところ。
その名のとおり、たくさんの牛を飼っている牧場内に併設されたカフェで、とれたての牛乳から作るアイスクリームはソフトクリーム、さらにソフトクリーム入りジョッキに新鮮なミルクを注ぎ込んだミルキーソフトなど、アイディアを活かしたスイーツを楽しめます。さらにここの楽しさは店内の模様。大のクルマ好きというご主人とお嬢さんの趣味から、真横にはおふたりの世界観がたっぷり詰まったガレージが広がっています。来店したライダーの記念写真を撮影して店内に貼るなど、趣味の乗り物を楽しむ方ウェルカム!な雰囲気が最高です。
ざっと駆け足でご紹介した南房総のアメリカ探訪。ここにはまだ他にもアメリカの薫りがするスポットがたくさん潜んでいますので、ぜひご自身の足で訪れて、いろんなところを探しに行ってみてください。