子供は真似を通して学習していく
子供の学び方にはあるルールが!
- 箱のふたを開けられるようになった
- 照明やテレビのオン・オフができるようになった
- ドアノブの開け方をマスターした
因果関係がハッキリしているものは学びやすい
このような学びの共通点は、因果関係がはっきりとしているということ。結果が読みやすいのが特徴です。つまり、押せば明かりが点く、もう1回押すと明かりが消えるのように、自分が働きかけると、100%の確率でリアクションしてくれるものです。だから、子供としても、モチベーションが上がりやすく、真似しやすいと言えます。では、その確率が100%でない場合はどうなのでしょう? 子供達は同じように上手く学習できるのでしょうか?
子供が成功パターンを選ぶ心理を検証
アメリカの大学が、2歳児の鋭い観察力を目の当たりにできる面白い実験を行いました。まずは、下記のYoutubeのリンクより、一般公開されている実験のビデオをご覧になってみてください。見どころは、後半に出てくる2歳の子のリアクション。ビデオに登場する女性(実験者)が2種類のブロックで遊ぶ様子を、じっと観察していた2歳の子が、自分の番になったとき、何色のブロックを選ぶかというところ。ぜひ、画像だけでなく、音声もオンにしてお楽しみください。
■2歳児の学習能力を記録した映像(Youtubeのリンク)
Learning by Watching, Toddlers Show Intuitive Understanding of Probability
いかがでしたか? 2歳の子は、ボールが出る確率が高い青のブロックを迷わず手でつかみ、女性と同じように台に乗せましたね。ボールがコロコロと飛び出す音が聞こえ、満足顔です。
この実験の面白いところは、確率が100%でない状況の中でも、2歳の子が、より高い確率を求めてチョイスするという部分。ボールが飛び出す確率が、3回に2回なのか、3回に1回なのか? この差をしっかりと見極めています。この実験に参加した72%の子が、ビデオのように、確率の高い方をチョイスしたのだそうです。
数字が複雑になっても成功パターンを選べるのか?
さらに検証を深めるため、その確率は変えないまま、操作の数を増やしていきました。- ひとつは、6回のうち4回ボールが出るパターン(3分の2の確率)
- もうひとつは、12回に4回ボールが出るパターン(3分の1の確率)
どちらもボールが出る回数は4回ずつなので、ボールのことだけに注目していたら、その確率を見落としてしまいます。確率を把握するためには、全体の流れを見ておく必要があります。2歳の子は、どう反応したのでしょうか?
なんと、2つめの複雑な実験でも、69%の子が成功しやすいブロックを見事に選んだのです! 12回もトライしたら、大人だってカウントが難しいですよね。それを見事にやってのける2歳児の観察力、記憶力、やはりすごいものがあります。
この実験で分かるのは、人間の競争心、勝ちたい気持ち、成功願望というのは、こんなに小さい頃から備わっており、それが子供の学びの土台になっているということです。裏を返せば、「失敗を避けたい本能」も備わっているということになります。
学びは「七転び八起き」からだけじゃない!?
よく子供は自ら転んで起き上がり方を学ぶと言いますね。たくさん間違いをして、多くの失敗をして学んでいくと。
でも、今回の実験で分かるのは、2歳の段階で、自ら転ばずとも、人の行動を”見る”ことで、失敗を避け、成功を選べているということ。しかも、白黒はっきりしないあいまいな状況でも、自分にとって、より都合の悪いものを避け、より都合のよいものを選ぶ、ということができるのです。「人の振り見て我が振り直せ」を地で行く2歳児、その学習能力にあらためて感嘆です。
*出典:Developmental Science(2014)「Causal learning from probabilistic events in 24-month-olds: an action measure.」より